第41話

家が近所とかならまだ分かるんだけ、流石に隣だと叫びたくなる気持ちもわかる。

実際、俺も相当ビビったしな。


「でも、いくら引きこもりとはいえ、学校には通ってるだろうし、よく会わなかったよな」


「私、通信制の学校だし、筋金入りのニートなんで」


「ならその制服は?」


「これは年に3回、学校まで資料を取りに行かなきゃいけないんですよ。それで今日がその日でした」


「へぇ~、中学でも通信制の学校なんてあるんだな」


「はい、私、リアルの人と関わることそんなに得意では無んですよ。だから今日家を出たのは二ヶ月ぶりくらいですかね」


「ん、リアルの人?」


「はい、私ネットの人間なので」


「そうゆう事ね」


「恥ずかしながら、そうゆうことなんです」


「でも、リアルの人苦手とか言ってる割には、俺と普通に会話出来てるじゃん」


最初、部屋でエロ漫画読んでて印象悪いはずの俺にも、それ相応の対応してたと思うんだけど。


「それは、姉が家に入れた人だから大丈夫だったんです」


「遥香が家に入れた人?」


俺は、その変わっている回答に首を傾げてしまった。


「そうです。姉は人をそう簡単に家に居れたりしないんですよ」


「それなのに小林はともかく、俺は家に入れてんだ?」


「相当信頼してる人しか家に入れないので、先輩は姉に信頼されるって事ですね」


「俺が、あいつに信頼されてるだと?」


「はい、しかも結構厚い信頼かと」


「はぁぁ~」


俺が遥香に信頼されてるねぇ~。

んなわけあるかよ!

あんだけ「絶対に秘密は他の人に言わないでよね!?」とか泣きながら言ってきたり、夜中にも1分おきくらいにLINEしてくるのに信頼されてるだと?

そんな冗談あるか!


「それはないと思うぞ?あいつ毎日俺にバラすなって念を押されてるし」


「それが信頼されてるんですよ」


「俺の話聞いてた!?」


今の話凄い矛盾してると思うんだけど?


「姉は興味ない人には何も言わないんですよ。先輩には構うでしょ?」


「まぁそうだけど」


「姉は、あなたが言わない事を知ってて言ってるんですよ」


「それ矛盾してないか?」


「ちょっと私にも姉の心理は分かりませんが、そうゆう事なので」


「遥香の事だからなんとなく検討はついた、把握しておくよ」


俺は靴を履き、玄関の扉を開けた。


「あと最後に、俺にはタメ語でいいよ。敬語使われるの慣れてないし、そっちの方が楽だろ?」


振り返り、そう言うと、


「分かりました、有馬さん」


ニコッと笑うのであった。

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