どこの世界線でも妹は強い味方

第40話

「先輩は帰っていいですよ」


「本当に任せちゃっていいのか?こんな状況なのに」


一通り話が終わると、零はそう言いながら段ボールに散らばった物を詰め、あるべき場所に戻した。

それにしても異様に手際いいな。


「こうゆうの慣れてるの?片づけがそんな感じするけど」


「慣れっこってわけではないですけど、ここまでひどくはないんですけど、ちょくちょくこうゆうのがあるので」


「なんか日常茶飯事そうだもんな」


「それに私が言えば何とかなりますよ」


「え、このめんどくさい2人を言い包められるのか?」


「これでも私の姉ですよ?隣はずっと一緒にいる友達だし、扱いには慣れてますから」


頼もし過ぎる遥香妹!


「でも、具体的にどうするんだ?」


ここが気になる。

これからこの2人を育成するに当たって、超重要な話だからな。

もし、それが本当なら俺の負担がものすごく軽減される。


「そうですね~、今段ボール片付けたのでまずは大丈夫でしょう」


「ひとまず安心だな」


「そこから、この状況に似合う設定を作ります」


「詳しく詳細を頼む」


「この状況だと、(優穂ちゃんとお泊り会をしている時に、2人同時に悪い夢を見てベッドから落ちた)とでも言ったらバカだから信じるでしょう」


まさかの夢設定かよ。


「いくらバカでも、それはちょっとバカ過ぎないか?バカだけど」


「姉のバカ&天然は筋金入りですよ?分かってると思いますけど」


「そうだけど、流石にバレないか?だって2人同時に同じ状況を体験してるんだし」


「いえいえ、絶対『2人同時に同じ見てたとかすごくない!?』とか言ってはしゃぎますよ」


「確かに!」


うわっ、言われた光景が頭の中に怖いくらい鮮明に浮かぶな。

妹、恐るべし。


「まぁ、そんな感じなので心配はしないで下さい」


「それならあとは頼んだよ」


「任せてください!」


「じゃぁ、俺は帰るから」


俺は荷物を持ち、2人に気付かれないように部屋の外に出た。

階段を降り、玄関に向かっている途中、


「先輩!」


後ろから零に声を掛けられた。


「ん?なんだ?」


「何かあった時の為にLINE交換してください。ついでに住所とかも教えてくれると助かります」


「おぉいいぜ」


その方が何かあった時安心だし、日頃あいつらの取り扱い方を質問したりできるので便利だ。

スマホにQRコードを表示させ、読み取ってもらうと、


「住所も何も家隣だからな、俺」


笑いながら言うと、


「そうなんですか~………………………………………って、えぇぇぇぇぇ~~~!!!」


また零の絶叫が家に響いた。


「とと隣ってどうゆう事ですか!?」


「言葉まんまの意味なんだけど」


「そうゆう意味じゃないですよ!なんで家が隣なんですかって意味ですよ!」


「そんなの俺に言われても困るんですけど」


「近いってレベルじゃないですよ!」


零は俺と同じ反応をした。

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