第39話

「確かにそれはさっき自分でも思った!」


部屋に入ったら知らない男子高校生がエロ漫画読んでて、姉とその友達が泣き叫んでたら絶対この反応するだろう。


「詳しく説明してください!有馬さん!」


「ちょっと長くなるけど大丈夫か?」


「はい、隅から隅まで聞きたいのでお願いします」


「泣き止むまでまだ時間かかるだろうし、全部話すよ」


俺と遥香の妹は2人を避けつつ、床に座り話を始めた。


「始まりは、図書館での出来事だった―――――――――」


そこから、最初から最後まで話した。

もちろん遥香の趣味の事から、図書館で下ネタを言っていたり、自分以外が言う下ネタが嫌いだったり、俺に泣きついてきたりした事まですべて。


「なんか、大変ですね」


「もっともだ」


遥香の妹は申し訳なさそうにした。


「うちの姉がこんな迷惑をかけて」


「いやいや、妹さんが謝る事ないよ。あいつが悪いだけだし」


「あ、零でいいですよ。先輩ですし」


「分かった」


「姉の趣味は分かってたんですけど、あそこまでひどいとは思いませんでした」


床に散らばっているエロ漫画の数々を見ながら言った。


「それに、自分でこんなのまで書いてたなんて」


遥香が書いた漫画をめくりながら、俺と同じく顔をしかめた。


「それだけじゃないぞ?これは遥香のパソコンの検索履歴だ」


先程、小林から貰った検索履歴のコピーも見せると、


「……………………恥ずかしい。姉がこんなので恥ずかし」


と、顔を隠しながら首を左右に振った。

確かに、俺が遥香の妹だったらとっくに縁を切ってるか、自殺してるだろう。


「零ちゃんは……………流石にこうゆう趣味はない……………………よね?」


あとから暴露されても困るので今のうち聞いておくことにした。

これでもし、同じ趣味だったら姉妹揃って狂ってる。


「ある訳ないじゃないですか、姉みたいな生き方してたらとっくにこの世に居ませんよ。あと虚言癖でもないですし」


「そうか、よかった」


「あ、でも趣味はありますよ」


「その趣味聞いてもいい?」


「アニメが好きです」


「よかった~」


俺は後ろに倒れながらため息を吐いた。

もし、遥香のよりエグいのが来たら、俺はその場で凍り付くだろう。

そんでもって走って逃げて、俺の家と遥香の家の間にウォールマリア級の壁を立てるだろう。


「私は常識人ですから安心してください」


「あぁ、安心させてもらうよ」


「それに姉は私の言う事絶対聞くので何かあったら頼ってください」


「ぜひそうさせてもらうよ」


頼もしい仲間が出来ました。

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