第38話

2人が暴れ始めてから数分が経過した。


「おい、そろそろやめてくれ」


「もうやじゃぁぁ~~~!!!!!」


「いっそ一思いに殺せぇぇ~~~!!!!!」


まだ泣き止むのは終わっていなかった。

このままだと帰るに帰れないぞ?


時刻は夜の7時。

そろそろお腹が空いてくるぞ、この時間帯。


これは まだ結構時間がかかりそうだ。

1時間くらい暇になるな~。

それにしてもすることがない。


不意にも、床に散らばっているエロ漫画に目が行ってしまった。

いやいや、女子の部屋で堂々とエロ本読むって結構ヤバくないか?

でも、スマホ見るより紙の方が、いつもより新鮮でなんか興奮するな。


うん。なんか清々しい。

泣いている女子の横で堂々とエロ本を見る。

変な性癖に目覚めそうだ。


エロ本を手に取り、机に座って有意義に読書を始めた。

2人の泣き声がBGMとなり、読むのに集中していると、


「お姉ちゃん~、うるさいんだけど何してるの~?」


突然、部屋のドアが開いた。

ドアを開けたのは、黒髪ストレートには紫のワンポイントが入っており、どこかの制服に身を包んだ少女だった。

その子と目が合うと、


「え?誰ですか?」


「そっちこそどちら様?」


このシチュエーションに当然の質問を同時に交わした。


「あ、俺は有馬葵と言います。この床で泣いている2人の知り合いです」


エロ本を閉じ、挨拶をした。


「どうも、私は下仁田零(れい)と言います。遥香の妹で、中学3年です」


と、挨拶を返された。


「はぁ、遥香の妹……………………って妹!?」


「はいそうですけど、あなたは姉と知り合いと言っていましたが、どこのお知り合いですか?」


「高校の同級生で、百歩譲って友人かな?」


「なんで百歩譲るんですか」


「それは色々あってね……………………」


「そうですか」


「遥香に妹居ることは知ってるけど………………なんか引きこもりとか言ってたから

「そうです、引きこもりです」


「はぁ~~。てか、ピアス何個空いてるの?」


遥香の妹の耳には、ピアスが無数に開いていた。


「えと、左に4つで右に6つ。鎖骨に一つです」


「遥香とえらい量が違うな」


「いや、あいつ普段1つしか付けてないだけで、私より開けてますよ。ざっと合計16個ほど」


「そ、そうなのか」


「はい」


一通り話が終わると、遥香の妹は改めて部屋の中を見まわした。

床には泣き叫んでいる姉とその友達。

そして椅子に座っている男が一人。


俺の方に目を向けると、手元に目線を動かした。

そして、少し間が空き、


「って、何ですか!この状況は!!女子が2人泣いてるのに、知らない男子が部屋でエロ漫画読んでるって!」


絶叫し始めた。

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