第35話

「お前バカか?」


「なんでよ、一番好きな人とヤレるのよ?最高じゃない」


真面目な顔で言われても、お前がただのバカであることしか分からないんだけど。


「一様聞くが、駿水の事知ってるか?」


「何?悪い噂でもあるの?」


「あいつヤリチンだぞ?」


「え…………………………………………」


あんぐりと口が空いた。

逆に、この噂結構有名だと思うんだけどなんで知らないんだ?

やはり、クラスで静かだと情報が回ってこないのか。


「今、自分で言った事に後悔しな」


遥香にそう言うと、


「優穂、私知らなかった……………………」


辛辣な表情を浮かべながら、優穂に謝るが、


「うわぁ~~~ん!駿水君好きな事バレたし~処女の事バレたし~知らなくていい事知っちゃったぁ~~!!!!」


優穂の泣き声はさらに大きくなった。


「うわっ、さっきより声デカくなったわ」


「ヤバい、そろそろどうしよう」


「お前が悪いんだからな?今のは」


「本当に、どうしよう……………………」


「まぁ、考えな」


「一緒に考えなさいよ!なんでそんなに他人事みたいな訳?」


「だって関係ないし、俺に小林の事バラシたのお前だろ?」


「それは、そうだけど……………………女の子くらい助けなさいよ!そんなんだから童貞なのよ」


「お前だって処女だろ、この痴女、アバズレ!」


「それは言い過ぎだろ~!」


「バラされたくないならそれ以上俺のせいにするのをやめろ」


「それ使うのずるいだろ!!!」


また言い争っていると、


「もういい」


いきなり小林はすすり泣きをしながら立ち上がった。


「え、もういいって?」


小林の行動に不思議そうに眺めていた。

そして数秒の間、またその場に固まっていた。

だが、その不思議な時間もつかの間、


「さっき見つけたの黙ってあげようとと思ったのに~~!!!」


小林は絶叫しながら遥香の部屋のクローゼットを開けた。

遥香は、いきなりすぎて起こっていることが理解出来ず、その場にポカンと座っていた。


「もう、全部出したるわ!!!!!!」


小林はクローゼットの奥に入って行き、なにかゴソゴソしているかと思うと、一箱の段ボールを出してきた。

少し大きめの通販サイトの段ボールの側面には、『絶対開けるな』と赤文字大きく書いてあった。


「そ、それ…………………………………………」


遥香が言葉を言いかける頃には、


「仕返しだぁぁ~~!!!!!」


優穂は段ボールの中身をひっくり返していた。


「うわっ……………………」


段ボ―ルの中からは、BLやらエロ漫画が流れ落ち、床に散乱した。

さっき予想していた事が怖いくらいピタリと当たってしまった。

俺はエスパーかもしれない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る