第31話

「そのアルバムを私に渡たせ~!!」


小林は、俺が手に持っているアルバムを必死に取ろうとした。


「なんでだよ、別に見たっていいじゃないか」


「ダメなの~~!!絶対その中身は見ちゃダメなの!」


「遥香と小林のギャルの姿見てみたいんだよ、俺は」


「だから、ダメだって言ってるじゃん!」


床に倒れこみながらアルバムを引っ張って、取っ組み合った。


「ウザイからくっつくな!暑苦しい!」


「ならそのアルバムから手を放せ~!」


小林は犬の様に威嚇し、喉を鳴らしながら俺を睨んできた。

俺達はどちらもアルバムから手を放すさず、数分間ずっと子供がおもちゃの取り合いをするように喧嘩していた。

俺は小林を押しのけ、少し距離を取ると、また小林は俺目掛けて飛びついて来た。


「もう、そろそろ見苦しいぞお前!」


「何がよ!誰だって卒アル見られるの恥ずかしいに決まってるじゃない!」


「高校の友達とかで見せ合う時はどうせお前だって見せるだろ!」


「友達と見せ合ってたまるか!」


小林の攻撃は一層強くなり、俺も抵抗するのでやっとであった。

体力のない俺は諦め、


「あー分かった俺の負けだ」


とアルバムから手を離した。

見られたくないなら最初から答えればこんなことにはならないのに。

どっちにしろアルバムは見るけど。


このアルバムの取り合いも、しっかりと隠しカメラで録画してある。

遥香に、昨日のうちから隠しカメラを設置しておくように頼んでおいたからな。


俺と小林が外にいた時、中でバタバタしていたのは設置し忘れてたからだと思う。

さっき、カーテンの上の方で何かしてたからな。


小林はアルバムを掴むと、俺にガンをつけながら大事そうに抱えた。

そしてホッとため息を吐いた。


「見てはいけない物でも何かあるのか?」


荒くなった息を整えながら聞くと、


「そ、それは……………………ないけど、ないけど!決してないけど!とにかく見ちゃダメ!」


「なんで一瞬間があったんだ?」


「だって変顔とかあったら嫌じゃん?」


「お前の変顔なんか見飽きてるわこっちは」


「それはあんたが私をおちょくるからじゃない!」


「そんなの知ったこっちゃないわ!」


「とにかく、絶対これは渡さないから」


小林は更に強くアルバムを抱きかかえた。

これはもう遥香の口から言ってもらうしかないか。

これが一番小林にダメージが入るだろう。

例えるなら、APEXでクレーバーでヘッドショット決められたくらいの高火力。


「遥香、もうダメだ言っていいよ」


俺は小林に呆れながら、遥香の肩に手を乗せながら言うと、


「あんたバレてるよ」


ため息混じりに一言、言うのだった。

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