第30話
「それで、なんで私を今日呼んだの?」
小林は先程と変わらずダラダラとしながら聞いて来た。
「そうだった、今日の本題はそれだったよ」
「んで、何さ」
「小林俺に嘘ついてないか?」
俺はあえて直接的に聞かずに、本人から聞きだす作戦に出た。
自分の口から言うんだから、暴れるに暴れられないだろう。
これでもし暴れも、動画撮って今月の全校朝会で小林が前に出て挨拶をしている時に、プロジェクターで後ろの壁にその映像を流してやるだけだけどな。
ちなみに、小林は生徒会に入っており書記を務めている。
書記の仕事は、集会のあいさつや司会進行などの前に立つ仕事があるので、そこが狙い目だ。
みんな完璧超人だと思ってる人が、実は下ネタ好きなド淫乱女で、普段の生活はだらしなくめんどくさがり屋で、下ネタの事しか頭にない奴だと知れ渡った時には、多分小林は屋上から飛び降りる。
その前に運動部奴らに部室に連れてかれて、性のはけ口にされるであろう。
その動画撮って、俺がお世話になってる某エロ動画サイトにアップしたらガッポリ儲かるんだろうな~。
おっと、話が逸れてしまった申し訳ない。
「何も噓なんてついてないけど?」
小林は相変わらず嘘を貫いている。
「本当に一つも嘘付いてないんだな?」
「そんなマジ顔して何のよ~」
「最後のチャンスだ。俺に噓ついてないんだな」
「別にあんたに隠すことなんてないでしょ」
笑いながら答えた。
あ、これ救いようない虚言癖って奴だ。
一回有名なツイキャス配信者にシバかれなきゃ治らんぞこいつ。
この重症はそれでも反省しなさそうだけどな。
これは自分からは絶対言わなそうなので痛い目を見てもらおうか。
俺だって本当はこんな事したくない。
だが、小林を改心させるのには仕方ない事だ。
とか言ってるか、早く小林が暴れている姿が見たい。
「遥香~、中学の卒アル見せてくれ~」
「いいけど、変な事しないでよ」
「別にお前の卒アルにぶっかけたりはしないから安心しろ」
「まじでここ30分発言がキモい通り越して尊敬に値するんだけど…………………」
遥香は、ジト目で俺を見ながら机の引き出しから卒アルを出すと渡してきた。
「ありがとうなー」
この表紙の向こうには、遥香と小林の本当の姿が隠されている。
普段なら地面に転がって駄々をこねる遥香が、こんなにもすんなり貸してくれたのには理由がある。
事前にこの作戦の事は話してあるし、第一に遥香の中学時代の写真はこの前見せてもらった。
その写真は、しっかりクラウドに保存しといた。
俺は不吉な笑い方をしながら表紙をめくろうとすると、
「だめぇぇ~~~~~!!!!!!」
小林は俺に飛び掛かってきた。
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