第29話
階段を上り、廊下の一番奥にある遥香の部屋の前に移動した。
すると、中からなにやら物を漁るようなゴソゴソとした物音が聞こえた。
「優穂、あいつ~っ」
遥香は額に汗と血管を渦を露にし、握りこぶしを作った。
「お前の家来ると、これが毎回なのか?」
「そうよ、ホント困っちゃうわ」
「なにか見られたらヤバいのもでもあるのか?」
それを聞くと、遥香はビクっと体を跳ね上がらせた。
「べ、別にないけど?」
遥香は分かりやすく、焦っていた。
俺の予想というか、ほぼ確実にどこかにヲタクグッズやエログッズ、エロ漫画からアニメ同人誌、BLまでそれはもう大量に隠してあるに違いない。
この趣味が親にバレたら気まずいの一言では済まされない。
これからの生活、親から冷たい目を向けられ、居心地の良いはずの家に居づらくなる。
最悪のケースだと、グッズを処分され、ネットの回線を切られる。
だから、誰にもバレないような場所に隠しているに違いない。
例えばクローゼットの奥に秘密の扉があって、そこに秘宝の様に入っている的な感じ。
そして、部屋の角にはデスクトップパソコンが置いてあり、エロゲーとギャルゲーが大量にダウンロードされていて、もちろんデスクトップの画像はエロゲヒロインなんだろうな。
と、勝手に遥香の部屋の構図を考えてると、
「部屋漁ってんじゃねー」
遥香は怒鳴りながら部屋の扉を開けて、中へ突入した。
「ん?なに~?」
すると、そこには床でゴロゴロしながら、漫画を読んでいる小林がいた。
「って、マンガ読んでるだけじゃない」
それを見た遥香は、ホッとため息を吐いた。
「逆に何をしてると思ったの?」
「また懲りずに部屋を漁ってるのかと……………………」
「いやー私も漁ろうとしたんだけど、全然見つからなくてさー諦めて漫画見てたって訳」
「漁ってたんじゃん!」
「でも、見つけられなかったのは超残念」
小林はそう言いながら漫画のページをめくった。
俺は遥香に続いて部屋に入った。
その部屋は、白を基調とした家具や雑貨に少しピンクが入っているTHE女の子の部屋の角にしっかりとゴツいデスクトップパソコンとデュアルモニターが完備されていて、遥香感が醸し出されていた。
だが、ここに薄い本とかが隠されていると思うと、なにもドキドキはしなかった。
「お前、意外に部屋キレイなんだな」
「意外ってなによ、これは普通よ」
「まぁ、お前も一様女の子なんだもんな」
「何よ一様って!私はれっきとした女の子なんですけど!?」
「いや、俺はてっきりパパ活でもしてるエロおやじだと」
「その例えマジ意味わかんない!」
「だって下ネタ好きだし、学校以外での考え方が裏掲示板でJCJKを狙ってるおっさんの考えそのものだろ」
「あんた私をなんだと思ってるの!
俺達は言い争いをしていると、
「2人仲いいね~」
頬杖をつきながら小林は微笑ましい表情を浮かべていた。
そこにすかさず、俺達は、
「「仲良くねぇぇぇ~~~~~!!!!!!!」」
と、絶叫するのであった。
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