第22話
その後は、特に何もなく午前中の授業が終わった。
だが、油断してはいけない。
お昼休みに遥香から呼び出しがあるかもしれない。
俺はそれを避けるべく、お弁当と椅子を持ち、綺良と駿水の元へ向かった。
「おい性欲モンスターども、今日は一緒に食べるぞ」
2人に声をかけると、
「え?今日はここで食べるの?」
「そうだよ、今日は行かなくていいのか?」
どちらも不思議そうに俺を見てきた。
「今日はってなんだよ、今日はって。珍しいみたいな目しやがって」
いつもの事じゃないか、3人でお昼ご飯なんて。
こいつら脳みそにまで性病にかかって記憶喪失にでもなったんじゃないか?
弁当箱を開けながら聞き返すと、
「だって、下仁田さんと食べるんじゃないのか?」
駿水が、結構大きめな声でそう言った。
この言葉が聞こえたからであろうか、俺と綺良含め、クラスが静まり返った。
数秒間、クラスはほこりが動く音も聞こえそうなくらいの沈黙とカオスに包まれた。
また少しすると静けさは消え、話し声が聞こえてきたが、俺は石のように固まっていた。
「おい、大丈夫か?」
「なんとか大丈夫だ……………………と思う」
これは後からクラスの人に「下仁田さんと付き合ってるんですか!?」とか「ヤッたのか?」って聞かれるパターンだ。
でも、ほっとしたことがある。
それは、この場に遥香が居ないことだ。
居たら大惨事になること間違いない。第三次世界大戦になりかねない。
しかも、その9割の被害が俺に来ることだ。
屋上か公園に呼び出され、胸ぐらとか髪を掴まれながら泣きついてくる。
ただの変態陰キャにだ。
顔は可愛いが、この際どうでもいい事だ。
それが、自分に不利がなくなるまで続く……………………………………この世の地獄だ。
クラスの人が遥香にさっきの事を言わなきゃいいのだが……………………
それより、そんな心配するよりやることがある。
俺は無言で駿水に近づき、肩を叩いた。
「もしかして怒ってる?」
そう聞かれたが、俺は沈黙を貫きゆっくりと駿水の顔に手を伸ばした。
「え、ちょ?何するつもり?」
額に汗が滴り焦りしたが、そんなのお構いなしに口を開かせた。
「へぇ?ほんろになにふぅるの?」
俺はその問いに笑顔で、
「死ね」
と、一言。
昨晩作った煉獄の激辛ソースを駿水の口に流し込んだ。
~~~~~~~~
お昼が終わり、4限目。
駿水は教室に居なかった。
理由は察してほしい。
そしてこの日の夜、駿水から
『トイレから出れない』『開発されてる気持ちが理解できた』『多分胃が破れてる』と、ラインが来たのはまた別の話。
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