第21話
教室に戻り、自分の席に座ると、
「なんだその奇妙な顔は」
前から俺の顔に手を振りながら、駿水が話しかけてきた。
紹介し忘れていたが、こいつは山崎駿水(やまざきしゅんすい)昨日の放課後に、綺良と俺が話していた時無視されてた人だ。
黒髪のセンター分けで顔も韓国風で量産型な見た目をしている。
しかもしっかりモテてる。
綺良より、こいつの方が経験人数は絶対に多い。
なのに、そのすべてを台無しにするくらい口が超軽いで有名だ。
駿水は清楚系の女を抱き、綺良はギャル系の女を抱くから女は被らなくて、そこら辺のトラブルもないそうだ。
そんな事一ミリも俺には関係ないし、ゴム破れて妊娠させてしまえとも思う。
「おー駿水どうしたーそんなに俺の顔が変かー?」
俺は、無気力な声で答えた。
「マジで、何があった?」
「いや、何にもないけどー?」
遥香がこれまで以上に面倒くさくなると同時に、小林という厄介な奴も加入してきて下ネタ三昧寿司ざんまい!
なんて事言わるわけなく、かといって、頼る人もいないので俺は魂が抜けていた。
「一回自分の顔見てみ?」
駿水が前髪直し用の鏡を俺の顔の前に向けた。
その鏡に映ってたのは、笑顔が引きつって目を見開いている自分の顔だった。
「うわ、ペニー●イズだな」
その顔に自分でもツッコんでしまった。
「だろ?さっき見たときプカプカ浮かぶかと思ったよ」
「確かに、この顔はヤバいな」
俺は自分の頬を2回ほど叩き、もう一度鏡を見ると、先程よりはましになっていた。
「そうえば、綺良は?」
こうゆう時に一番で駆けつけるはずの綺良なのだが、今日は静かだった。
「あぁーあいつなら机で寝てるぞ」
「なんだ、あいつらしくないな」
「でも、しょうがないと思うぞ?」
「何かあったのか?」
「綺良の奴、昨日の女が激しかったらしくて、それに朝までしたからダウンしてるんだよ~」
駿水は笑いながら言った。
いつもなら、「羨ましい奴だな~」と俺笑って流すところだが、
今の精神状態の俺には笑い事ではない。
俺はそれを聞いた瞬間に椅子から立ち上がり綺良の席へと向かった。
「綺良君?朝ですよ?」
優しく声をかけるが、
「んん~んっ――――――――なぎざーそこヤバい~…………………」
セフレの名前を寝言で言いながら、ぐっすりと寝ていた。
遥香の事もあってか、やはりこの日常に無性に腹が立った。
そして、
「綺良くん朝ですよ~~!!!」
と、机を蹴り上げた。
すると、綺良はビクッと起き上がりあたりを見渡した。
状況が分かっていないからか、寝起きだからか、俺の顔を見てポケーッとしていた。
そして、今の状況を理解すると、
「何なんだ!寝てただろ!」
俺に向かって怒鳴ってきたが、
「うるせぇーこのヤリチン!ぶっ殺すぞ!そんな苦労しないでヤリやがって!俺なんかお前のせいで人生変わったわクソ!」
綺良の胸ぐらを掴みながら前後に揺さぶった。
「え~?俺なんかしたか~?」
「存在がウザイんだよ!」
「理不尽すぎない!?」
綺良は、この光景を見ている駿水に聞いたが、手を広げ首を傾げるだけだった。
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