第19話

「陰キャかー」


あのギャルと言い張っていた遥香が陰キャだったことが発覚した。

それも結構重度の……………………


朝挨拶しても返さないし、ずっと下向いてるし、服装なんか夏場でもブレザー着ててスカートはいつも膝下。挙句の果てには三つ編みおさげだぞ?

重症ってレベルじゃない、放送事故レベルだ。


ここまで嘘つくの上手い人間生まれて初めて見た。

世界仰天ニュースに取り上げられてもおかしくないくらいすごいぞこれ。


「お前な~、なんでそこまで嘘つくんだ?」


流石にここまですべて嘘となると、驚く気力などなく呆れることしかできなかった。


「なんでって、そんな過去誰にも言いくないじゃない」


理由は単純な物だった。

もっとエグイのが来るかと思った自分を少し殴りたくなった。

例えば、友達が陰キャヲタク1人で、そいつと休み時間や放課後はずっとBLやらエロ同人誌やらエロ動画を漁って感想とか交換してるイメージだ。


「あと、挨拶くらいすればよかったとか言ってたけど、無視してたのお前じゃんかよ!」


「多分イヤホンしてたし、ずっと下向いてたから気付くわけないでしょ!?」


「理不尽すぎるだろ」


それは置いといて、誰しも言いたくない過去などある。もちろん俺にもある。

だから、俺は聞かないことにしようとしたのだが、何かが頭の中に引っかかることがある。

確かこいつは、中学時代小林とギャルだったと言っていたような……………………


「…………………………………………小林だ!」


そうだよ、遥香は小林とギャルしてたとか言ってたわ!

でも、遥香が陰キャなら小林はどっちなんだ?

これで小林が陰キャじゃないなら俺は脳汁吹き出るぞ。


だって、そうじゃなきゃ辻褄が合わないからな。

こんなクソ陰キャとギャルが関わる訳がない。


「お前が陰キャだったのは分かったが、小林はどうなんだ?あいつはお前と一緒に居たんだろ?」


「陰キャって言うな!優穂の事は……………………言えない」


小林の事になると、一気に声が小さくなった。


「なんでだ?別に知ったって何するわけででもないのに」


「それが信用できないの!とにかく口を割らせようたって無理だからね?!」


遥香は近所迷惑になるくらいの大きな声を出した。

そんな大声出しても遥香さん、君の口を割らせるのくらい朝飯前なんだけど?

過去にもそれで何回やられてると思ってるの?


「そんなに言いたくないなら、さっきの事学校中にバラそうか。ついでに遥香が好き

なエロ同人誌の題名とか普段見てる女性用ボイスの題名とか」


「ごめんなさい、優穂も陰キャでした、私と一緒に陰キャしてましたどうもすみませんでした」


俺の言葉を聞くと、遥香は急に早口になり、先程まで言わないと断固拒否していた内容をペラペラと話し始めた。


ほら、自分に被害があるとすぐに友達の秘密もバラしちゃう。

俺だって鬼じゃないから、頼めば聞かないでおいたのに。

まぁ、それは嘘だけど。


遥香はバカだ。陰キャだったからしょうがないところもあるが。


「じゃぁ、今日はこれ以上聞かないことにするよ」


俺は門を開け家に帰るろうとすると、


「今日はって、明日また何か聞くの?」


玄関に入ろうとした俺にそう聞いた。


「それはもちろん、明日の放課後、マックで小林を混ぜながら」


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