第18話
「近いってレベルじゃないぞこれ!!!!」
俺の雄叫びが住宅街に響いた。
「おいおい、これどうゆう事だよ!?正気じゃないって!」
遥香の肩を揺さぶりながら言った。
すると、先ほどまで放心状態だった彼女は正気に戻り、
「はぁ~っ?私がそんなの知りたいよ!なんなのこれ!」
と、同様に俺の肩を揺さぶり始めた。
「は?は!?なんなの?もう!!は!?」
動揺しすぎて、遥香は語彙力が幼稚園児並になっていた。
「知るかよ!逆になんでこんなに家近くてお互いの事知らなかったよな!?」
「そうだよ!絶対に朝挨拶交わしてるくらいの距離だよね!?」
「あぁ、絶対そうだよ!「こんにちは」くらい話しててもいいんじゃないのか!?」
「そうだよね!?「こんばんは」くらい言えばよかったかな!?」
俺達は無駄に声を張りながら話をした。
それも続けていると疲れてくるので、一度深呼吸をし、また話を続けた。
「お前、いつから住んでたんだ?」
「大体、中2くらいからだと思う」
「学校はどこに?」
「ここら辺にじゃなくて少し遠くの学校に」
「朝何時くらいに家出てた?」
「普通は朝の7時くらい」
朝の7時と言えば、俺がランニングをする時間だ。
中学1年から毎日欠かさず行っている朝の日課だった。
あれ、その時毎朝のように制服を着た地味目の女の子家を出ていたような……………
俺は当時の朝の事を思い出した。
確か、朝玄関を開けてイヤホンつけてランニングをしようとした時に三つ編みおさげのメガネっ子が出てきて、挨拶しても返してくれなかったような。
俺はここで疑問が生まれた。
この正体、遥香なのではないのか?
いやでも、あいつは中学時代ギャルって言ったたし、小林の証言もある。
だが小林も嘘をついているかもしれない。
だから証言を鵜呑みにするわけにはいけない。
あいつら裏で組んでるかもしれないからな。
遥香のぼろが出るように話を進めることにした。
これでウソだったら、下ネタだけではなく、陰キャという名も追加コンテンツとされる。
いやもう、陰キャで下ネタ好きとかただのド淫乱でしかない。
「遥香さ~、妹か姉いるか?」
「妹はいるけど、家に引きこもってて一切外に出ないわよ」
「ホントに、朝とか外に出ていないか?」
「えぇ、そんな事絶対ないわ」
こいつ……………………地雷踏んだな。
いやまだ決まったわけではないぞ決して。
もしかしたら従妹を預かってたり、友達と暮らしてるかもしれない。
これはもっと聞かなければならないな。
ここまで深く考えると頭がパンクしそうになるので、一旦休憩を取ることにした。
その場から離れ、先ほど立ち寄った自販機にまた戻った。
頭のリフレッシュと思い、ブラックコーヒーのボタンを押し最近日常生活に必須になった電子マネーで支払いをした。
俺は遥香の元へ向かいながら缶の蓋を開け、一口飲んだ。
「にっがっ」
ちなみに、俺はコーヒーはめちゃくちゃ甘くしなきゃ飲めない。
なのになんで買ったかって?
ただカッコつけたかったからだ。
よく、仕事できる人はス●バとかに行くと「コーヒー、ブラックで」とドヤ顔で頼んでいるし、街中では、サラリーマンが飲んでるイメージが強いし、またまたドラマやアニメではコーヒー飲んでいる人がカッコいいみたいな描写がよくある。
右下に*ただしイケメンに限る。と書かれている事が多々あるが。
とまぁ、んなこと考えずにカフェラテを買えばよかったと思う。
これも、考えすぎが原因なのかもしれないな。
苦いのを我慢しながらコーヒーを一気に飲み、遥香の元へ向かった。
「ごめん、ちょっと頭の中を整理してきた」
「そ、そう」
「それで、また質問していいか?」
「分かった」
俺はまた遥香への質問を開始した。
「お前、従妹とか預ってたことないか?」
「そんな事一回もないわよ」
「なら、シェアハウスとかしてないか?」
「してない、だって家族と住んでるんだよ?」
そうか、そうだよな。
「じゃぁこれから俺が言うことに『はい』か、『いいえ』で答えろよ」
「分かったけど、それ何の意味があるの?」
意味しかないだろこの質問!
よくもうバレかけてるのに平気そうな顔ができるよな!?
まぁ、学校でニヤニヤしながら下ネタ言ってるくらいだから不思議ではないが…………
「それで、お前は中学校に毎朝7時くらいに登校してるよな」
「うん」
「帰りは大体5時半くらいと」
「うんうん」
「眼鏡かけて、スカート膝下で、三つ編みおさげでリュック深く背負ってた」
「そうそれ!」
「お前あのクソ陰キャじゃねーか!!!」
見当はついていたが、ついツッコんでしまった。
「あぁそうですよ~私は陰キャでしたよ~」
「何開き直ってるんだ?」
「だってもうバレたからいいかなって」
なんだその開き直り方。
その都合のいい性格貰いたいもんだよ!
これはまた質問が増えそうだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます