第14話

「ホントどっかの情緒不安安定小動物とは違うなぁ~」


俺は少し笑いながら言うと、


「誰が情緒不安定小動物ですって~?」


どこからか現れた遥香が後ろから頬を掴んできた。

こいつ、暗殺者くらいのスニークキルだ。


「痛った、お前何するんだ」


「さっきの言葉、訂正して」


「なんでだよ、ほんとの事言ってるだけじゃねーか」


そろそろ認めろよ。


「嫌だ、私は情緒不安定じゃない」


「どこがだ!いきなり俺に泣きついたかと思うとすぐに泣き止むし、怒ったと思うと、笑うし。これのどこか安定してるんですか!?言ってみろ!」


俺が正論をぶつけると、


「グぬぬ………………………………………………………………」


目に少し涙を浮かべ、頬をプクッと膨らませた。


「ほら、言い返せないだろ?」


「もういい。あんたなんか知らない」


と、そっぽを向いてしまった。


「知らないなら、遥香の事バラしちゃっていいよね?インスタで拡散していいよね?」


インスタを開き、ストーリーで『下仁田さんって、下ネタすきらしいよ』と打った画面を遥香に見せた。

すると


「分かった~わがったがら~、認めるから、知らなくないからそれだけはやめでぇ~~」


俺にしがみつき、謝罪してきた。


「分かった、言わないから離して」


俺は遥香を服からはがすと


「ホント!?」


遥香は安心してぱぁ~っとした笑顔を見せた。

これを情緒不安定っていうんだぞ、下仁田さん。


ホントに認めてないなら、動画撮って今度見せてやるか。

このやり取りが数分続き、


「もう言わないから!離せ!」


遥香は俺の足にしがみついていた。


「絶対、絶対ぜーーったい言わない?」


「あぁーあぁ、もう言わないから」


「ホント!?」


またまた顔を明るくして俺の方を見てきた。

その顔、普通に可愛いからちょっと反則なんですけど。

俺は少し顔を赤くしながら遥香の顔を見ていると、


「もう、終わった?」


小林は呆れた様子でこちらを見ていた。


「あぁ、終わったと…………………………………………思う」


「それはよかった」


「小林、この光景見慣れてるんじゃいの?なんか表情がいつもと違うような」


「昔はこんなにうるさくはなかったんだよね~ただ下ネタが好きってだけで」


「ギャルだったんならうるさいんじゃないの?」


普通、ギャルはうるさいような気もするが……………………俺の勘違いか?


「遥香は静かなギャルだったんだよ?私はうるさい方のギャルだったんだけど」


「やっぱお前も――――――――――」


小林もギャルだったのかよ。

遥香と一緒にいたくらいだから、そうだとは思ってたけど、今の見た目では考えられないなおい。


「あと、私が遥香をギャルにした」


小林~~!!!お前が何もかも原因じゃないかよ。ふざけんじゃね~!

なんで遥香をだめにしたんだ。他の人じゃダメだったのか?

俺は小林への怒りに頭を抱えていると、


「でさぁ~、マック行かない?ここで立ち話もよくないし」


小林は少し回りを気にしながら、言ってきた。

確かに、ここに居ると学校に人にバレるかもしれないからな。

小林だけじゃなく、あまり目立たない俺と下仁田まで評判が下がるうえ、変な噂までたてられてしまう。


まぁ、小林の評判なんかはこの際どうでもいいのだが、俺が絶耐えられない、耐えられるはずがない。

だからさっさとここから離れよう。


「よし、行くか」


俺は2人に言うと、


「ちょうど私も同じ事思ってた」


遥香も同じことを思っていたらしい。

たしかに、下仁田が一番バレたくないだろうからな。

そして、俺たちは学校の駅近くにあるマックに向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る