第12話

時は過ぎ、食後の睡魔と闘いながら午後の授業を耐え、放課後を迎えた。

待ち合わせまでまだ時間がある。


放課後と言っても早めに集まると、他の生徒や綺良から変な目で見られまい。

だって、俺みたいな凡人ときゃぴきゃぴ生徒会長と陰キャ下仁田さんだろ?


俺たちの事情を知らない人から見たらその光景はカオス極まりない。

まぁ実際は、童貞と情緒不安定小動物と変態小林だけどな。


変態小林呼び方というのは、遥香から聞いた話によると、遥香が下ネタ好きになったのは小林が下ネタを吹き込み、動画や同人誌。エロアニメ、エロゲーまで見せるさせるでこんな風になったとか。

で、あっさり遥香は下ネタにのめりこんだそうだ。


小林がそんな事しなければ普通にかわいい女の子だったのにな~。残念。

だからこれから俺は、小林の前では小林の事を下ネタの権化と呼ぶことにしよう。


そして今日、下ネタを教えた件について問いただしてみよう。

俺の特性である弱い立場の人にSの効果を使って、色々聞いてみよう。

これは面白くなりそうだ。


俺は時間を潰そうと図書室に行くことにした。

今日は委員会がなく、図書室の鍵は午後6時に見回りの人が来るまで開いているので入れる。

俺は席を立ち、廊下を歩いていると、


「葵~~~」


前方から赤いジャージを着た綺良が走ってきた。


「お前部活はどうしたの?」


綺良はバスケ部に所属している。

しかもその上手さからキャプテンをしている。


「いやぁ~、教室に弁当忘れて取りに帰るところなんだよ」


「そうなんだ」


「葵はなんでまだ学校にいるんだ?」


「なんだ、俺が居ちゃいけないのか?」


「いや、お前部活してないし、今日委員会ない日だろ」


「そ、そうだけど」


確かに、俺は何もない日は家に直行してゲームをしている。でも綺良はなんで俺の委員会の日を知ってるんだ。怖いんですけど。


「今日なんか予定あるの?」


「まぁ、ちょっと」


「もしかしてまた下仁田さんか?」


あっさりと当てられてしまった。


「な、なわけないだろ!?」


「ならなんでそんなに焦ってるんだ?」


今日バレたらヤバいことになるからに決まってるだろ!

遥香だけならまだしも、小林がいるから本当にまずい。


小林の評判が下がると共に、遥香の下ネタ好きまでバレてしまう。

誓ってしまった以上、約束は守らなければいけない。


「とにかく、今日は普通の予定だから」


俺は少し焦りながらもきっぱりと言うと、


「分かった、これ以上詮索はしないから。頑張れよ」


手を振りながら走って行ってしまった。

危ない危ない。

今日のところは大丈夫なようだ。


ホント、あのヤリチンにバレなくてよかった。

あいつは口は堅い方が、バレた後のイジリが絶対的にウザイ。


俺はスマホで時間を確認する。時刻は午後4時。

部活動が終わるのが4時半なので、綺良とも会わないだろう。


待ち合わせまであと1時間。俺は図書室で静かに読書をした。

その静粛した心落ち着く読書の時間もつかの間、待ち合わせまで5分となった。

俺はバックを持ち図書室を出て、下駄箱に向かう。

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