第10話
そしてドアの前に着くと、遙香は俺の足から手を放し、おもちゃを買ってもらえなくで駄々をこねている子供のように床を転がった。
「やぁ~~~だ~~やぁ~~~~~~~だぁ~~~~~」
この光景は約2分ほど続き、俺もそろそろ嫌になってきたので
「分かった分かった、ヒントくれればそれでいいから」
俺は折れた。
本気で行かないにしろ、こここまでさえると流石にウザイ。
すると遙香は
「ほんと!?」
サンタさんからプレゼントを貰ったようなキラキラした目になった。
ほんと、遙香の性格は全然わからん。
遥香の機嫌が直り、少し経った頃。
俺たちは一度屋上近くの階段に設置してある自販機で飲み物を買い、また屋上のベンチに腰を掛けた。
さて、本当に遥香はヒントを出してくれるだろうか。
また駄々をこねて面倒くさいことにならないといいのだが……………………
そんなことを思っていると、遙香は先程買ったココアを飲みながら話し始めた。
「まず一つ目ヒント。この学校で有名」
「有名かぁ~」
学校の有名人となると、可愛い人かっこいい人、生徒会、それから部活などで賞を貰っている人など様々いる。
「ヒント2つ目。学校では陽キャの部類に入る方」
陰キャではない。
そしてみんなから好かれている感じになるな。
「そして3つ目。これが最大のヒントよ。私たちのクラスにいる」
「マジか!」
「マジよ」
俺は目が丸くなると共に安心した。
何故なら、俺達のクラスにはヤンキーもギャルもいないからだ。
俺達のクラスで有名で人気があるのは小林優穂(こばやしゆうほ)と、笹村久瑠弥(ささむらくるや)だ。
まず小林。
先程説明した通り、超スペックの完璧美少女だ。
だから、こんな情緒不安定な小動物と友達な訳がない。
そもそも接点すらないだろう。
そして笹村。
こいつは、クラスの人気者でなんでもそつなくこなしてしまうただのイケメンだ。
こんな良い奴が遥香と友達な訳がない。
だからこいつもない。
あれ、となるとクラスに候補がいなくない?
シャーロックホームズのように考えていると、
ガチャ
屋上の扉が開く音が聞こえた。
「あ、来た来た」
遥香は軽く挨拶をする。
「遥香ちゃん~やほ~」
俺はその光景を見て開いた口が塞がらない。
戻そうとしても、まるで力が入らなく下に落ちる一方だった。
だって……………………………………………
「小林~~~~~!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?」
「やほ~会わせた人って葵君だったんだ」
そう、生徒会長だったからだ。
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