第7話

そしてホームルームが終わると、その予感は的中した。

俺は自分の席で腕を組みながら、これからの事を悩んでいると、遙香がこちらに向かってきた。


やばい、殺される。

俺は本能で遙香から目を逸らした。


うるさいはずの教室だが、俺には遙香の足音が鮮明に聞こえてくる。

そして、俺の横を通り過ぎる時、


「昼休み、屋上きて」


小声でそう言うと、通り過ぎた。


その声は、皆に見せている下仁田モードではなく、完全に下ネタ大好き遙香モードの喋り方であった。

あ、終った。


周りの目(特に綺良)を気にしたが、気づかれてないらしい。

それに、俺は昼休みまでビクビクしながら過ごさなければならなくなった。

もちろん、午前中の授業など集中できるわけもなく、俺は遙香を観察していた。


遙香を見て目が合うと、すぐに目を逸らし、また見る。

これをずっと繰り返しているうちに、あっさり昼休みを迎えてしまった。


遙香は、授業が終わるとすぐに教室から出て行った。

俺も、その後を追いかけようとするが、


「ご飯食べようぜぇ~」


綺良がお弁当を持ってこちらに近づいてきた。

これはまずい。

このまま一緒に食べると、昼休みが一瞬で終ってしまうし、俺の人生も遙香に終わらせてしまう。


「いや、今日は予定があるんだよね~」


なるべく目を合わせないように言うと、


「もしかして、下仁田さん?」


「なんで知ってるの!?」


こいつ超能力者なの?それともエスパーなの?


「だって、さっき下仁田さん教室から出たし、いつも教室で食べてる下仁田さんが外に出たから、なにかあるんじゃないかな~って」


綺良の正体は探偵だった。


「まぁ、そんな感じかな」


「昨日の作戦、成功したって事でいいんだよな」


「そうゆうことだ」


悪い意味でだが、成功しただろあれは。

遙香の裏の顔(下ネタ好き)が知れたし、現に今も名前で呼んでるし、一様成功でいいんじゃないのか?


「まぁ童貞卒業頑張りな~」


「誰が屋上でするか!」


俺は顔を赤くしながら、逃げる様に教室を出た。

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