修羅場の学校

第6話

次の日、俺は寝不足でくまの出来た目をこすりながら、学校に向かっている所だった。


寝不足の理由は、昨日、遙香の分の仕事もあリ、学校だけではその仕事が終わらなく、家に帰って作業をしていた。

そうしていたら睡眠時間があっという間に削られ1時間しか寝れなかった。


なんで委員会の人は各クラスに2人づついるのに、俺達の仕事量がこんな多いのには理由がある。

そんなの簡単で、みんな仕事を俺達に回してくるからだ。


一回、他の人の仕事を手伝ったのが原因で、回されるようになったのであろう。

だが、学校に近づくにつれ段々と眠気も吹き飛ぶような緊張感が走る。


あの、怒った猫みたいになったり、丸まった猫みたいになったりと、情緒不安定の遙香に会わなきゃいけないのだ。

昨日の最後、あんな中途半端な別れ方をしたからなおさら心配だ。


顔を見るだけで、俺の胃がやられそうだ。

俺は彼女にどう接したらいいのだろう。


今まで通り、敬語で話すのか?

それとも、昨日の放課後の様に話せばいいのか?


いや待てよ?

そもそも、俺は教室で遙香と話さないではないか。

あいつがキャラを変えるか、俺と2人にならない限り遙香と話さなくてもいいのか!


これは勝った!


俺はガッツポーズをしたが、一つ忘れていた。

今日も委員会があることを。


でも、委員会の時は2人きりって事だし、あのノリで話せば問題ないのか?

でも話す内容がないんだよ!


そんなこんなで、学校に着いてしまった。

靴を履き替え、教室がある3階に向かった。

そして、教室のドアを恐る恐る開けると、教室を見渡した。


恐る恐る前の窓側の席に座っている遙香へと目をやる。

そこにはいつもと変わらず、静かに本を読んでいる遙香の姿があった。

俺は安心して自分の席へと向かうと、


「おっす~」


綺良に声を掛けられた。


「おはよう」


「なに、なんか今日様子おかしくない?」


「まぁ、ちょっとな」


「そうえば――――――――――――――――――」


綺良は俺に手招きをして、近づくよう命令した。

俺は耳を貸すと、


「昨日、下仁田さんとどうだった?」


やはり、このことだった。


「下仁田さんとなんかあったのか?」


「あぁ、少しな。でも詳細は言えない」


「え!?なになに!そんな深刻な悩みだったり!?」


「そうだよ、超深刻だから詮索するのはやめてくれ」


「そ、そうか」


何を頑張れって言うのか。変態との関わり方か?

知らないから言ってるだろうけど、お前今その言葉は言わないで欲しかった。

話が終わると、廊下側の後ろにある自分の席に向かい、腰を降ろした。


そしてすぐにホームルームが始まった。

その間も俺は、遙香から目を離さなかった。


怖い、なんか怖い。

さっきから嫌な予感がして、悪寒がする。

子犬の様に怯えていると、


「葵くん、大丈夫?なんか調子悪そうだけど」


前で話していた小林が、そう声をかけて来た。

小林優穂(こばやしゆうほ)この人は生徒会長なうえ、勉強もでき、スポーツも出来る超スペックが高い人だ。


出るところは出で、引き締まる所は引き締まっているモデル体型。

そのボインスタイルと最強の顔面偏差で、男子からの人気と信頼は厚い。

それは女子からも変りはないが、男子は見るところが、内面より体の腰から上だが。


「あぁ、大丈夫だ。話続けてくれ」


「そう?ならいいけど」


実際なにも大丈夫ではないんですけどね………………………

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