食べる物に捨てる物などない!

織風 羊

第1話

捨てるものなど無い


 料理の手始めは、殆どの人がインスタントラーメンから始まるのではないだろうか。


 そして、如何にしてインスタントラーメンを美味しく頂くのかを考えるのではないだろうか。


 私の場合、まずは、スープと麺を別々に茹でることから始まった。


 次にラーメン鉢を鍋の上に置いて蓋がわりにして、予め鉢を温めることで、熱いラーメンを食べられる事になる。


 さらに次は、冷蔵庫にある野菜を全て微塵切りにして、ラーメンのスープと一緒に煮込むのだが、これが美味かった!


 味を占めた私は、もっと具材を増やそう、ということで。


 スープと一緒に冷凍餃子を煮込む餃子ラーメン、うーむ、これも美味。


 次なる技は、豆腐ラーメン! と色々試してみる間に、よし! スープにオリジナルの味付けをしてみよう、という事になるが、これは失敗。


 さすがに企業努力は凄まじい。


 独自の味付けをすると、本来の味が消えて、何か別の独特なスープになってしまった・・・。


 などと試行錯誤している間に、俄かに向上心が育ち始めたりなどする。


 では! と冷や飯を炒飯なるものに変化させてみようと、玉ねぎなどを細かく切って、やはり冷蔵庫の野菜室を探ってみるとピーマンとレタスを発見。


 ピーマンはいけるとしても、レタス? えーい!構わんわ! ぶち込んでしまえー、という気合いとは裏腹に、フライパンの最後の余熱でレタスを温めるような弱腰。


 しかし、レタス、君は最高ではないか! 暖かで然もこのシャキッとした食感、うほーい、たまりませんですー。


 因みに、この日の冷蔵庫には、お肉が無かったのでバターで炒めました。


 などとやっている間にと、スパゲッティなるもののミートソースを作ってみたりしては成功! またもやアホが調子に乗って、次にカレーに挑戦。


 これがまた大失敗で、カレーに必要なスパイスを集めて独自の製法?で、カレールーを煮込んだが、いかんわ、これ、これいかんわ、カレー風味の別なものが出来上がり、何よりもスパイスの匂いが部屋中にこもって、家に帰りたくなくなるくらいの代物ができてしまった。


 しかし、食物を無駄にしてはいけない、かといって得体の知れないものをご近所様にお配りするようなことなど許される訳などなく、吐きそうになりながらも完食し、一年近くカレーライスが食べれなくなってしまった。


 ちょっと話は変わりますが、料理の腕も上達してきた頃(ほんまかいな!)はい、嘘です、が、釣りなるものを始め出し、自分で捌いたりして、お刺身なども作ったりしちゃって、残ったアラはアラ炊きになんかしちゃったりして、また、このアラ炊きが美味い!


 理由は簡単、骨についている魚の身が半端ないし! そりゃー美味いわな。


 などと日本料理?にまで手を伸ばし、気づいた時には飾り包丁で、きゅうりの松や、大根で花を作ってみたり(勿論、それが松や花と呼べるような代物であるなら、という大前提があるが)して、一端の料理人気取り。


 よし! ここで初心に帰ろうと、再びインスタントラーメンに手を出す。


 スープの味付けは企業努力にかなわないことを知っているので、出汁作りから始める。


 出汁が出来上がれば、あとは企業努力なるスープの粉末がなんとかしてくれるはず。


 ということで、先ずは手羽先など骨のついた鶏さんの肉を買って(鶏さん、ありがとう)、唐揚げなどを作り、余った骨を包丁の背中で叩き割って(鶏さん、ごめんなさい)、この日のために冷凍しておいた捨てるはずの屑野菜(野菜さん、言い方が悪かったです)、キャベツや白菜の外側や芯を細かく切って、包丁で叩き割った骨(鶏さん、再びごめんなさい)と一緒に煮込み、濾過して出来上がり。


 でもって、勿論、麺は別に茹でて、白く濁った出汁へ粉末スープを入れると、特製出汁企業努力スープが完了し、この我流(?)特製スープの中へ麺を投入。


 本来の味を確かめるために(そんな上等なものか?)、今回はトッピングなしで麺を啜る。


 うーん、と唸りながら、今度はスープを蓮華で一口。


 うーむ、これは、なんと、なんと美味いではないか!


 でもって、またもやお調子者は、今度は釣ってきた魚の内臓なども捨て難く、出汁を取ってみたが、これが大失敗。


 臭い! 取れないわ! この臭みプラスのエグ味! 全然取れんわ! 勿体無いのでザルで濾過して、さらに根菜類や生姜にニンニクなどを加え、基本のお魚さんの内臓は何処へ行ったやら。


 匂いも消えた頃に、恐る恐るインスタントラーメンを作ってみたが・・・、これが美味い! これめっちゃ美味いやん! これ、貝とかワカメとかもトッピングしたら、三陸ラーメン(そんな上等のものではない)やんか! などと自画自賛。


 インスタントラーメンから始まって、インスタントラーメンに帰するのである。


 因みに、カレーですが、現在は市販のカレールーを買ってきて、そこへ何種類かのスパイスを加えるようにしております。

 

 ただーし! 特製出汁野菜ゴッツ盛り豪華インスタントラーメンであり、カレーだってさぁ、市販のルーを基本にしてるけどさぁ、冬は細かく切った蓮根やゴボウなんかを入れた根菜カレー! 夏なんかだったらキュウリに茄子、トマトにゴーヤなどを入れた四季折々野菜カレーなんだよー。


 これぞ名付けて、織風風(おりふうふう)野菜ラーメン、アンド、織風風野菜カレー、なのだ!


 ・・・。


 あかん、負けよしみだ・・・。


 インスタント食品では企業努力に勝てないお料理もある・・・。


 参りました・・・。

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