2022/8/8 EVO2022優勝はカワノ

●ウメハラ配信

 あちこちでミラー配信をやっていたが、CapcomFightersJPのEVO日本語公式配信を貼っておく。

 試合開始まで一時間ほどあるようなので、試合だけ見たいようであれば適宜飛ばしてしまえる。チャプター指定もあるので、おすすめの試合だけでも是非。


https://www.youtube.com/watch?v=nbOIeI8HX2M


 ウィナーズにウメハラ、ときど、ガチくん、カワノ。日本人強豪4名。

 ルーザーズにMister Crimson、iDom、Justakid、Oil King。アメリカフランス台湾の強豪4名。

 いかにもEVOらしい国籍入り乱れたトップ8、しかしウィナーズ側は全員日本人という、面白い構図で始まった今日の決勝トーナメント。

 注目していたウメハラは、最近あまり勝てていない様子のガチくんにやはり負け、初戦でルーザーズに落とされた。噂に聞いたところによると、ガチくんは今回のEVOに向けてPS4版スト5もやり込んでいたらしい。意気込みと練度の差に負けた感はある。

 そしてウメハラが落とされた問題のルーザーズ。世界一のダルシム使いと目されているフランスのMister Crimsonと、世界にここしかいない本物のララ使いと目されるアメリカのiDom。ウメハラはこの二人のどっちか勝った方と戦わなければならないという、キャラ的にも人的にも厄介なところに落ちた。


 Mister CrimsonとiDomの対戦も相当面白かった。「ダルシムってこんな事できるんだっけ?」と驚く動きと、「ララってこんなキャラだったか?」と驚く動きのぶつかり合い。この試合と次のウメハラの試合はおすすめのベストバウト。

 結果、勝ったのはiDom。正直、一番日本勢がやりたくない相手が上がってきたと思った。日本のプロシーンにはララ使いがいない。というか世界中でもララで勝ってるこの強さの人はiDomぐらいしか見当たらないぐらい、飛び抜けてiDomのララが別キャラのように強い。対策しようがないので、やったらまず負ける。

 ところがウメハラ対iDomの試合が始まると、ウメハラの動きがいつもと違う。悪い意味ではなく、良い意味で違う。気になってハイタニのガヤ配信を見てみたら、「ウメハラさんララ対策できてますよこれ」と解説していた。

 ハイタニは今はプロシーンから退いたとは言え、かつてはトップで研鑽を積んでいた仲間であり、ララ使いでもあった。ララが何をされたら嫌なのか、有利なキャラと不利なキャラについて語ってくれているハイタニ。そのハイタニがウメハラのララ対策を保証している。


 実際この後、「ララって対策したらやっぱり弱いんじゃないか……?」という勢いで、ララの攻めをしのぎ続けた。何も出来ずに轢き殺されるんじゃないかと、恐れていたのは杞憂だった。おいiDomを日本勢が恐れなくてもよくなったぞこれ。

 もちろんそんな楽観も一時的なものだった。ララ対策を突き破ってゴリゴリに追い上げてくるiDom。おなじみのウメフラッシュこと、EXサマーを当てて切り返すウメハラ。iDomのラッシュを凌ぐ、それでも前に来るiDom、この繰り返しで攻防が延々続く。

 ウメガイルの大足差し返しも見れた。「ラグのあるPS版でそれ狙うんだ」と驚いたものの、試合の最後は大足対空の出が遅れて、ガードされてウメハラの負け。

 返せる技は返すという、意識の高さがプロシーンではよく見られる。観戦しているとそれに毎度驚く。しかしそうしたプロ意識で試合が決まってしまった。あの大足がもう1フレーム早かったら、対空は成功していたんだろうか……。

 とは言え充分に健闘したウメハラ。iDomと当たったが最後、なす術なく終わることを見ているこちらは覚悟していた。3-2で負けたとは言え全然戦えた。iDom相手でもそんなに恐れることもなかったんじゃないか。

 もちろんこんな楽観も一時的なもので、続くときどを3-0で破り、ガチくんも3-1で破るiDom。やっぱやばいこの人。グランドファイナルでカワノと当たって、これも3-1で破ってルーザーズに引きずり下ろす。

 ウィナーズにいた日本人選手全員とiDomが戦って、全員に勝った。競ってたのはウメハラだけで、みんなすごいスピードでやられていく。試合が早い……!


 あとになって気づいたことだが、今日の壇上に残っていた日本人選手4名の内訳にドラマ性があった。

 ウメハラ41歳、スト2からストシリーズを始めた。

 ときど37歳、スト3からストシリーズを始めた。

 ガチくん30歳、スト4からストシリーズを始めた。

 カワノ24歳、スト5からストシリーズを始めた。

 この4人、5歳刻みぐらいで年齢がずれていっている。それぞれの時代のストリートファイターシリーズから、今の最前線にいる。

 日本のストリートファイターの歴史と戦っている構図のiDomは、26歳。アメリカ勢最後の一人として現地ラスベガスの大会で、日本のこの4名を倒している。圧倒的主人公じゃないかiDom。

 名前の読みは「アイドム」だが、日本語読みすると「挑む」とも読めると教えられて更に笑った。出来すぎてるシチュエーションだ。

 その上スト5は、過去シリーズのボスキャラであるベガやギルやセスが一堂に会するゲームであり、そのゲームのファイナルシーズンの世界大会がこれ。様々な状況が噛み合っている。


 応援の後押しを受けて進むiDomにより、ルーザーズに落とされウィナーズの有利を失ったカワノ、最後の3先勝負。

 スト5から格ゲーを始めた若手がラスボスの意地を見せてくれる。一方的にiDomにやられることなく、踏みとどまる。攻防が一進一退になっていく。先程リセットされたときとの違いを見せていく。勝ち星が2-2にまで食らいつく。

 フルセットフルラウンドまでもつれ込み、ファイナルラウンド開始すぐに両者EXゲージが空になったときは、「これだけやって最後にゲージ五分かよ」と笑った。

 この激戦を制したのは、カワノ。EVO2022スト5優勝は、カワノ。

 ここ数年充分な成績を残しているのに、いまいちトッププロより下に見られることが多かったカワノが、ウメハラときどガチくんを次々に倒したiDomを止めて優勝。これはさすがに世界一だ。実力的にも状況的にも文句なし。一番強かった。


 興奮冷めやらぬ中だが、この大会はEVO。他の格ゲーの大会も行っており、大会に並行して新情報が次々飛び交う。

 スト6に武神流の黒人女子キンバリー&ジュリの参戦が決定。ギルティギアにブリジットが参戦して明日から使える。KOFにサムライスピリッツチーム&真吾とキムの参戦が決定。鉄拳新作、餓狼新作の情報などなど。ネット中が賑わっていた。

 そんな中、「スト5は日本勢全員でiDomを止めたようなものだ」「つーかiDomを倒してルーザーズにしといてくれたやつがMVPなんじゃないのか」「誰があのララを倒したんだ」といった話が持ち上がっているのを見た。

 昨日の段階でiDomを倒してルーザーズに落としたのは、ギネス記録も持つイギリスのプロプレイヤー、Ryan Hartだった。日本語ペラペラで「えいたより日本語がうまい」と言われるあの、Ryan Hart。

 これを受けて「じゃあ実質日本勢5人でiDom止めたようなもんだな……」と言われていて吹いた。


 しかし改めてこのメンツでの、カワノの優勝は喜ばしい。

 スト5から始めたやつが、スト5の最後のシーズンでトップに立っている。おじが強いと言われている格ゲーで、新規に始めた若手が頂点にいる。

 スト6でも新世代が台頭してくるだろうし、その時も各世代の代表が張り合っていることを祈る。同じ舞台でこのメンツが同じ力でやりあっているのは、面白い。


●日記

 そんなに朝早くの配信でもなかったのに、普段の生活時間帯では寝ない時間に眠りについて、普段の生活時間帯では起きない時間に起きたのが良くなかったのか、眠りが浅くて夜は全然眠れず。

 昼ぐらいまで頭がボーッとした状態でEVOを見ていた。楽しかったことだけよく覚えている。

 EVOでの立て続けの発表と、その反応をツイッターで追っている昼過ぎからのほうが元気だった。おかげで一日楽しく過ごした。EVO記録を書くことを明日に託して寝る。

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