性悪女子に振られたら、なぜか恋愛相談所を手伝うことになりまして、様々な出会いのお蔭で、学校の人気者になっていました。振った女性? もう眼中にありません
【可愛い妹が突然、私を振ってくださいとお願いしてきた。えっと、そんなこと言われても俺はお前が好きだから、どうしたら良いか分からない】
【可愛い妹が突然、私を振ってくださいとお願いしてきた。えっと、そんなこと言われても俺はお前が好きだから、どうしたら良いか分からない】
「それで相談しに来たわけですね?」
「はい」
春樹は腕を組むと「うーん……あくまで俺が感じた事ですが、お互い将来のことを話し合って納得できるなら、恋人同士になるって選択もありなんじゃないかな? って思います」
「なんで?」
「例えば……結婚を望まず、同棲だけで過ごすカップルもいますよね? いまの世の中、いろいろな考えの人が居る訳ですし、いろいろな形があったって良いと思うからです」
「なるほどねぇ……」
拓哉は抱えていた悩みが解決したのか、スッキリした表情で立ち上がり、「ありがとう。君に相談して良かった」
春樹はにっこり微笑み「お役に立てて良かったです」
──拓哉は帰る準備をすると、恋愛相談所を後にした。静かで暗い夜道を歩きながら、「確かに道は一つじゃない。お互いが納得できれば他人が選ばない道だって選べるんだ」と呟く。
拓哉は街灯の下で歩みを止めると、ズボンの中から携帯を取り出す。結愛に『今日の夜、話したいことがあるから、俺の部屋に来て欲しい』と、メールを送ると、またズボンに携帯をしまって、歩き出した。
※※※
その日の夜。夕食を食べ終えた拓哉は。ベッドで寝ころんで天井を見据えていた。するとコンコンとノックの音が聞こえてくる。
「おにぃ、入るよ?」
「うん、大丈夫」
結愛は部屋の中に入って、ゆっくりとドアを閉める。話の内容が分かっているのか、不安そうに眉を顰めながら拓哉に近づき「話って何?」
「まぁ、座れよ」
「うん」
結愛は返事をすると、向かい合うようにカーペットの上に座る。部屋は静まり返り、二人は緊張が高まっているようで、顔を強張らせていた。
「──話のことだけど明日、告白の返事をするんだろ? だから俺の思いを伝えようと思って」
「分かった。その前に深呼吸だけさせて」
結愛はそう言って、胸の前に手を持ってくると大きく深呼吸をした。
「お待たせ。いいよ」
「俺……やっぱりお前を振る事なんて出来ない。だって俺も結愛のことを男として好きだから」
結愛は目を丸くして「え……本当?」
「うん、本当」
結愛の顔がパァァァ……っと明るくなり本当に嬉しそうな笑顔を見せる。でも直ぐに表情が曇り始め「でも、良いの? それって他の人より色々と乗り越えないといけないことがあるって事だよ?」
「うん、その辺のことは覚悟している。だから一緒に話し合って、乗り越えていこうな」
「おにぃ……」
結愛はスッと立ち上がり──拓哉を押し倒すぐらいの勢いで抱きつく。
「おいおい、ケガするだろうが」
「だって嬉しかったんだもん」
「まったく……」と、拓哉は言いつつも、結愛の背中に手を回しギュッと抱きしめていた。
「へへ、ありがとう。おにぃ、クラスメイトの話はちゃんと断るからね」
「分かった。まだ先の事だけど、俺が大学を卒業したら一緒に住もうな」
「うん! 待ってる」
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