性悪女子に振られたら、なぜか恋愛相談所を手伝うことになりまして、様々な出会いのお蔭で、学校の人気者になっていました。振った女性? もう眼中にありません
【好きな女の子の絵を描いていたら、幼馴染の体を描くことになりました】
【好きな女の子の絵を描いていたら、幼馴染の体を描くことになりました】
将太は話し終えると「ってな具合なんだけど、どうかな?」
「うーん……俺の口から言って良いのかな」
「なにを?」
春樹は腕を組むと「──やっぱり、やめておく」
「何だよ、気になるな」
「俺が言えるのはやっぱり、協力してくれている優菜さんのためにも、完成したら告白した方が良いんじゃないかな? ってぐらいかな」
「やっぱり? まぁ、いますぐ答えを出さずに、春樹君の言葉を参考に考えてみるよ」
「うん、そうしてください。最終的には自分が出した答えが一番だからね」
将太はスッと立ち上がり「ありがとう」と、春樹にお礼を言うと、恋愛相談所を後にした──。
※※※
あの日を境に将太は、優奈の部屋に通い続ける。最初はお互い緊張していたからか、無言が多かったけど、徐々に会話が増えていった。その時間はとても楽しそうで、まるで子供のころに戻ったようだった。
「ねぇ。絵の方、もうすぐ終わりそうなの?」
「うん。今日で完成だよ」
「そう……寂しいな」
優奈は名残惜しそうに表情を曇らせながらそう言った。きっと描き上げてしまえば、もう優奈の部屋に来る事は出来なくなる。将太はそう思ったのか、寂しそうな表情で「俺も」としか答えなかった。
いつになく重たい空気が流れている気がする。描くのも思う様に進まないようで、この時間を終わらせたくないという想いが、そうさせているようだった。それでも将太は絵を描くのを辞めなかった。きっと頑張って完成させる。それが優奈とした約束だからだ。
――一数時間ほどが経過し、絵が完成する。将太は今まで竹内を何枚も描いていたけど、その絵よりリアルさを感じ、上手く描けていた。
優菜はシャーペンを止めたのが分かったのか、チラッと将太の方へ視線を向ける。
「どうしたの?」
「終わった」
優奈はこちらに体を向けると「ほんと、見せて見せて」
将太は恥ずかしそうに俯きながら、ノートを優奈に渡す。優奈は受け取ると「わぁ……」と、声を漏らした。
「どう?」
「凄い……でも」
「でも?」
「私って、こんなに可愛い? 美化してない?」
「ふっ、美化なんてしてないよ」
優奈の頬が緩み、ニヤァっと微笑む。
「それって、将太から見て、私が可愛く見えてるって事?」
将太は顔をカァ……っと赤くする。否定を出来ない将太は、黙り込んでいた。将太が答えに困っていると、優奈は「ふふ……」っと笑う。
「これ、貰って良いんだよね」
「うん、良いけど本当にそれで良いのか? 何だったら食事ぐらい奢るけど」
「大丈夫、ありがとう。ノート、切って良い?」
「うん」
将太が返事をすると、優奈は机からハサミを取り出し、丁寧に描いたページを切り離す――ハサミを机に置くと、「はい、ありがとう」と、ノートを返した。
将太は受け取ると「うん」と返事をして、リュックにノートをしまう。
「これからどうするの?」
「帰るよ」
「え~、まだ帰る時間には早いし、少し遊んでいかない?」
「分かった。もう少しだけ居るよ」
「ヤッター。じゃあ何かゲームしようか?」
「何があるの?」
「色々あるよ。えっと――」と、優奈はゲームソフトを選び始める。
「これなんてどう?」
「お、良いの持ってるじゃん。それにしよう」
二人は夕飯になるまでゲームを楽しんだ――将太はさすがに夕飯を御馳走になるのは申し訳ないと思ったようで、名残惜しいそうに帰宅する──。
将太は自分の部屋に戻るとリュックをおろし「はぁ……」と、溜め息をついた。その表情は、楽しい一時が終わってしまった時のように浮かない顔をしていた。
※※※
それから数日が経ち、将太は毎日、竹内さんを描き続け、絵を完成させる。まだ完成した絵をどうするか迷っているようで、自室の椅子の背もたれに背中を預けながら、天井を見据えた――。
しばらくすると、将太は答えを決めたようで、姿勢を戻して「よし! 男だったら覚悟を決めてみるか!」
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