1年間

恋をした。


高校の入学式で。


人生で1番の恋をした。


相手は生徒会長。


名前は「 雪野 棗 」。


在校生代表で話しをしていた。


カッコいいなタイプだな。


付き合えたりするのかな。


なんて思っていた矢先に目が合った。


やられた。


これは恋に落ちる。


芋女の私が人生で1番の恋に落ちた。


落ちないと思っていたのに。


しかもリアルで、、、


速攻で行動に移した。


入学式が終わってから先輩を呼び出した。


そして、人生初の告白をした。


「 好きです。ずっと好きでした、、」


「 私と付き合ってください!」


長いようで短い間だな。


なんて呑気に考えながら返事を待った。


「ごめん。告白は嬉しい。でも、、、」


振られた。


そして、忘れもしない、あの言葉。


「告白の前に容姿を整えてからかな、、?」


は?いや、こちら女子ですが?


容赦なさすぎて禿げるよ。


遠回しが逆に傷になりますよ、先輩。


好きな人に言われてしまったら死ぬやつです。


つまりは言われないように努力するしかない。


私はそこから先輩が卒業するまで私*を磨いた。


1年間という短い期間で。


因みに、私の見た目は正に芋女中の芋女。


今考えればそりゃ言うわ。みたいな容姿。


真面目そうな眼鏡にボサボサの頭。


肌荒れにそばかすやらなんやらの顔。


それに真面目すぎる制服の着こなし。


スカート丈は膝にブレザーもきっちり。


真面目を通り越してキモい。


まぁここからどう変わるかという話。


まずは、変えれる所から変える。


という事で美容室に向かった。


知り合いが美容師なので頼んだ。


縮毛矯正やストレートパーマなどで手入れ。


髪の長さは元々ミディアムだったから良し。


次に取り掛かるのは制服の着こなし。


一応、進学校なので校則がゴミ。


なので引っかからない程度の着崩れをして。


スカート短くして靴下も短くして完成。


次に1番重要なメイク。


濃すぎず、薄すぎないスクールメイクを。


メイクが1番努力した。


知識が皆無なものだから羽衣に聞きまくった。


羽衣は幼馴染み。


羽衣は私と対極の存在。


根は真面目なんだけど見た目の女子力が女神。


聞けば間違いない相手だよね。


本当に羽衣には感謝しかないな。


そして最後に香水の匂いの部分。


こんなん好みだから分からなかった。


嫌われない程度のいい匂いにしといた。


でも、羽衣が知り合いに聞いてくれた。


羽衣は顔がめちゃ広い。


その分色んな情報が入るって。


ありがたく受け入れて聞いてくれた。


因みに、髪型も羽衣情報だ。


全てに関しても本当に羽衣ありがとう。


生涯契約で幼馴染みでお願いします。


そんな訳で、1年をかけてなんやかんやした。


メイクは1年で習得するものじゃないけど。


羽衣の偉大なお力をお借りしました。


そして、遂に先輩の卒業式の日が来た。


卒業式が終わって先輩を呼び出した。


1年前と全く同じところで告白をもう1度。


「 好きです。ずっと好きでした、、」


「 私と付き合ってください!」


1年前と全く同じセリフになってしまった。


1年前に戻ったかのように。


ダサいな、なんて心の中で反省しながら。


先輩の返事を待った。


それは30秒とか数秒だったと思う。


でも私は待ち時間がとてもとても長く感じた。


1年前よりもずっとずっと長く。


「是非、喜んで。」


「ありがとう、憂㮈ちゃん。」


「1年前はごめんね。」


認知されていた、、、、、


なんなら1年前の告白も覚えてくれていた。


名前も覚えてもらえていた、、、


どこまで恋に落としてくるのだろうか。


本当に彼氏*に落ちて良かった。


入学式に告白して良かった。


入学式*がなかったら卒業式*はなかった。


勿論、認知も何もかもなかったと思う。


あの告白に未練はない。


なくなった。


本当に告白して良かった。


1年前も今日も。


本当に良かった。


 「 ありがとうございます。」


改めて、彼氏*に言いたいけど今は違う。


「 全然大丈夫ですよ、棗さん。」


「 棗さん大好きです。」

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カメレオン 柚木 @yugi_04kikiki

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