第9話  【BLACK EDGE 其の9 炎】

 BLACK EDGE



 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria



 第9話

 【BLACK EDGE 其の9 炎】





 小さな村があった。そこは山奥にある村であり、人々は協力しながらのどかに暮らしていた。




 そんな村に一人の少年がいた。




 少年は村から少し離れた丘にある家に暮らしていた。少年には妹と弟がおり、三人の兄弟は仲良く暮らしている。

 母親はおらず、父親が一人で育ててくれており、そんな父親のことを少年は尊敬していた。




 それは赤い月の日のことだった。




 もう寝ようかと準備をしていると、村の方で騒ぎが起きていた。




 村の方を見ると、村は真っ赤に燃え上がっていた。大火事だ。




 こんなことは初めて見た。そしてこれはかなりやばい状況だと気づいた。




 父親は少年についてくるように言うと、妹と弟を家に置いて、村へと向かう。




 村に着くと、そこは悲惨な状況だった。家事だけじゃない。村人が殺されていたのだ。




 父親は死体に近づくと、




「これは刃物だな。誰の仕業なんだ……」




 盗賊の仕業か、それとも別の何者かによる犯行か。しかし、村人は殺されて、村は燃やされていた。




「これは家も危ないな。急いで戻るぞ」




 少年は父親に連れられて、家に帰ろうとする。しかし、家に帰る前に、




「っ!?」




 黒いフードに白い仮面を被った集団が現れた。

 彼らは少年たちを囲むと、剣を取り出す。




 彼らも殺す気だ。




 それに気づいた父親は、




「お前だけでも逃げろ。ここは俺がどうにかする」




 そう言って仮面の男の一人を押し倒した。それにより包囲に一箇所だけ穴ができる。




「行けー!!」




 少年は父親を置いて走り出した。振り返ることはできない。後ろで何が起きているか、想像できるから、だから振り返らずにただひたすら走った。




 丘を登り切り、家に着くとすでに家に火をつけられていた。燃える家の中、少年は家に入る。




 誰もいない。




 悪臭だけが漂う。そんな中、黒焦げになった物と紫色のフードに白い仮面の男と出会う。




 男は少年に気づくと、




「遅いな……」




 と言った。その声はどこかで聞いたことがある声に似ているが、分からない。

 だが、少年はその男が炎を放ったと気づいた。




「あああぁぁぁ!!」




 少年は訳もわからず、仮面の男に殴りかかる。しかし、少年の拳は簡単に受け止められてしまう。




 この感覚は昔にもあった。だが、おかしい。そうなるとこの男は……。




 少年が考える暇もなく、仮面の男に腹を蹴られる。そして少年は薄らと消えゆく意識の中、仮面の男の声を聞いた。




「あいつらの代わりにお前が犠牲になってくれ」




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る