第51話城での暮らし
天守閣から夕焼けの外を眺めていた。
海上に赤い波がキラキラと反射して綺麗だ。
「ヒューゥ」と風が吹き付けてきた。
ああ、顔に吹きつける風がチクチクと肌を刺激してくる。
「ああ、さぶ~ぅ」
急ぎどてらのポケットに、静香の手をギュッと握って突っ込んだ。
「急に何を・・・」
静香も同じようにどてらを着こんでいたが、寒がる気配をみせない。
「さぶいだろう。こうすると手があったかくなるだよ」
少し照れながら見詰めてくる。
「あ、雪が・・・」
言われるまま見ると、綿のような雪が降ってきた。
「本当だ、今夜にかけて積もるかな。静香もさぶいだろう」
「いいえ、ここは暖かいです。京の冬はもっとさむう御座います」
ああ、そうだった。
大昔に京都へ行った時も冬で寒かった。
清水寺へ行って、金閣寺にも行った。
そして、電車で帰る途中で熱がある事に気付いた。
風邪を引いて、2日間寝込んでしまった経験がある。
最悪の2日間だった。
誰にも看病されずに、薬局の薬だけで我慢して過ごした。
「何を思い浮かべていますの・・・」
「大昔の事だよ」
あれ?未来の事だから昔ではないのか・・・
ごちゃごちゃな回答の出ない思考が駆け巡った。
もんもんとして悩み続けた。
すると誰かがそでを引張る。なんだ静香か・・・
ああ、成る程、伝達係りの五平がひかえていた。
「殿、モールス信号での伝達です」
「何処からだ」
「紀伊号からの伝達です。『ミツヒデ、トチノシハイヲカンリョウ、エゾニノコル』」
「そんな短期間で支配したのか?光秀は、どんな作戦で支配したのだろう・・・」
北海道と貿易するようになって、水の補給をする地点に、無線の中継拠点の建設も済ませた。
現地人を雇って管理させている。仕事はいたって簡単だ。
モールス信号の内容だと、すでに勝ったのだろう。
そして、地盤を固める為なのか、極寒の冬を過ごすことに決めたようだ。
あの時の光秀は、何かを決めた雰囲気があった。
単身赴任で行ってしまったが、寂しくないのか・・・
何かあれば、又連絡して来るだろう。
「さあ中に入ろう。1階は床暖房で暖かいからな」
1階部は、床暖房が施されている。
城の
そして窯の対角の位置に煙突が出ている。
燃えた暖かい空気が床下を流れて、煙突へと流れてゆく中で床を暖かくする仕組みだ。
「あら、本当に床が暖かいわ・・・なにか匂う」
「ああ、それは
2人して、囲炉裏のある部屋へやって来た。
味噌、砂糖、酒、みりんで混ぜ合わせた味噌を、串刺した食材に塗って料理人がセッセッと焼いていた。
「食べ頃の物はあるかな」
差出された物を見ると、香ばしく焼かれていて美味しそうだ。
「これは、豆腐だよ。食べるかい」
「ありがとう。あ・・・普通の味噌と違う。少し甘くて美味しい」
「どれどれ、俺はこんにゃくが好きだな」
「鍋で煮込んでいるのは何ですか?」
「ああ、これはおでんだよ。このちくわも美味しいぞ」
「ちくわって
「そうかな、目の前は海だし魚も沢山取れるからね」
このちくわは、
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