第13話国境の砦




暗鬼城の広間で、居並ぶ家臣の前で手紙を見たが読めない。

こんな、ミミズが這った字なんか読めるか。


「武藤、読んで聞かせてやれ」


「読んでも宜しいのですか?」


「皆も知って、意見があれば聞きたい」


「成る程、内容は分かり申した。一部言わない方がよろしいかと」


「ならば、武藤の判断に任せる」


「急ぎ、六角の国境くにざかいに赴き陣を張れとの命令です。六角の注意を引くだけで、攻めなくともよいと言ってます」


成る程、浅井へ攻め入るのだな。

六角を足止めさせる作戦か?

たしか、浅井は六角と敵対していたはずだが、俺のせいで変わったのか?


「武藤様、何時まで陣を張れと書かれてますか?」


「1ヶ月は張り続けろと書いているな」


「ならば、もっと伸びるやもしれませぬ」


「殿、その準備は勘定奉行の山形がしとう御座います」


「うん、任せる。それ以外は何かあるかな」


「・・・・・・」


「明朝の出陣じゃー、準備にかかれい!」



大方の家臣は出て行った。残ったのは4人。


山田のおっさんは手紙を読んでいた。

そして、深刻な顔のまま、手紙を半兵衛に渡した。


何て書いてたんだ。気になるな。


「まだ伊勢の内政も整っていないのに、3ヶ月後には紀伊の国へ攻め入ろとは。上洛が近いと見ました」


「半兵衛もそうか・・・紀伊から大和・阿波・堺と睨みが利くからな・・・それにしても無理難題じゃー」


え!そんなことが書かれてたのか、なんとなく分かった。

半兵衛が判断したことが起こっているのだろう。


明日の打ち合わせをして、何処に陣を張るかも決められて終わった。

谷間の細い道で、関所があったらしいが燃やされていて使えない。


武藤がここに残り留守番。

山田のおっさんは、伊勢の国で家臣の登用をしながら、新しい城を作りつつ財政の建て直しを進めるらしい。

取り敢えず1万人の家臣を揃える計画で進めていき、生き残った国人と話し合いをして家臣に登用する。

本格登用は、俺の面接後になる。そうしないと間者や悪者まで登用してしまうからだ。


明朝の出陣は半兵衛に任せた。


「殿が行かねば話になりませぬぞ」


「一度顔を出すから、それで良いだろ。俺も色々と考えがあるんだ」


俺は用事が済んでから行くと、何度も言い聞かせた。

なにやら納得しないまま、3人は下がった。





俺は、夕暮れ時には陣を張る位置に居た。

夜中だと、全然分からないからだ。


足元には、六角へ行く道が見えていた。

関所も見えるが、大半が燃やされていた。


それにしても細い道だ。ライフルで狙えば簡単に当たりそうで怖い。

ここを選んだ訳が分かった。



俺は両手を地面つき、土魔法を使う。

地面がわずかに揺れている。徐々に形が変わって石の壁がせり出してくる

山には砦が出来て、道も石壁が塞ぐ。

勿論、石の門も出来ている。


今後、道を広げるので門も大きくしている。

山の砦に、俺は旗を立てた。


丸の中に本と書かれたシンプルな家紋だ。


一夜城でなく一刻城いっこくじょうでいいのかな。



【クエスト発生 竹中半兵衛が来るまで六角から守れ】

又、クエストが発生したよ。久し振りな1だけのクエスト。



次の日の昼頃に、4000人ぐらいで攻めてきたが、雷魔法での一撃で500人程が死に絶えた。

それでも向かってくるので、2撃目を落とした。

一瞬で1000人程が死に絶えた。

昼間の晴れ空だ。雷が落ちたとは気付かない。

音がしない雷撃で、地中に張られたワイヤーで雷撃が拡散して広がった。


六角からしたら、突然に人々が倒れるのを、ただ見ているだけだ。

底知れぬ恐怖だ。限界がきて引き止める武将を襲いだした。

レベルアップしてLv11に成った。



暇だった俺は、山の砦から下の道まで綺麗な階段を作ってしまった。

道の門の上に出る階段で、落ちないように手すり付き。

門の高さは12メートルで厚みは5メートル。

頑丈過ぎて怖い。





半兵衛ら軍勢が来た時には、半兵衛は驚いていた。

2日を掛けての行軍でも、疲れを忘れさせる程だった。

それは驚くだろう。見た事も無い砦や頑丈な門が出来ていたのだから・・・



【クエスト完了 報酬に鳥使いを差し上げます】

なんと、1羽の鳥を操り目をリンクさせて見えるらしい。

偵察に使えそうな気がするが、しかし、今までで一番しょぼい。



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