第12話伊勢攻め




桶狭間の合戦から1年が経過しただろう。

長島では、実質的な禄高が40万石にも達している。

俺の土魔法と回復魔法と現代の知識で、稲の収穫期が3回も出来るようになった。

稲の生長が早く、うはうは状態。

それに、1回の収穫量も3倍程にも跳ね上がったのも原因。



家臣団も1万人程に膨れ上がった。

家臣には、土地でなく銭での給金が月々に支払われている。


当初は不平不満もあったが、本人に年間に直して計算させてみれば、すぐに納得するのだ。


「お前は、何石が欲しいのだ」


「50石が欲しいです」


「1石1000文を50倍して50000文。それ1年の12等分すると4167文(切り上げて)。お前は1ヶ月、何文貰っている」


「4500文です・・・あれ多い」


中には、絵に書いてようやく納得する者もいる。



この給金方法が出来るのも、ガラス食器や磁器を堺まで、ノンストップで【なばな(駆逐艦)】が売りに行っているからだ。

帰りは硝石や商品を買って、硝石は今川へ売り、商品は長島商人に売っている。

そのせいで長島は、商売のやり取りが毎月上がっている。

ついでに堺でも悪銭を両替して仕入れている。


それに、銭が足らなくなれば、山々を歩き銅を中心に発掘すれば、新しく銭が作れる。




急に忍者の侵入が多くなって来た。

俺が城下をぶらぶらしている途中で見つけ、捕まえては説得を試みた。

それも、普通の家臣待遇で召し抱えると言うと喜ぶ者も居る。

家族が居て困っていれば、召し抱えた忍者に手伝わせて迎えに行かせている。


抜け忍は、必ず殺されるって漫画で知ってたが、そんなに厳しくないらしい。

召し抱えられた忍者を殺したら、報復や悪い噂が心配で手出しは無いみたいだ。

忍者の間では、情報のやり取りがあってなあなあの世界らしい。

今では、活動する忍者軍は100人にも及んでいる。


そして、忍者に情報収集させたのは伊勢であった。

堺の荷物を商人込みで、長島や尾張や駿河まで運んでいたのがやばかった。

伊勢へゆく荷物が、半分以下までになっていた。

運べる物流量が多いから、ついでに安い運賃で運んでいただけだ。

速く、安く、



安全の3つで人気が出ていた。


今では【ながしま(駆逐艦)】も加わり、商売繁盛であった。



伊勢商人は、大坂商人、近江商人と並ぶ日本三大商人の1つである。

このままゆけば商売が出来ないと悟った伊勢商人は、銭の力で伊勢の国人を動かした。

銭は出してくれるは、嘘の情報でその気にさせた。

勝てると踏んだ国人が大勢になってしまった。


北畠政成きたばたけまさなりは、ようやく重い腰を上げてしまった。

長島の一向一揆の壊滅で恐れていたのに、周りから哀願されれば動くしかなかった。


忍者からの情報が無いまま、伊勢一国は動き出した。

事前の諜報活動で、伊勢の勢力がここへ攻め入る計画を知り、万全の守備で待ち構えた。



【クエスト発生 伊勢の国を奪え】

又も、クエストが発生して、今度は国取りとは・・・

仕方ない。頑張るしかない。




海には、大小の船が150隻ぐらいが向かってきていた。

伊勢方面には、陣が幾つもあった。

どれだけ、暇なんだ。


暗鬼城の屋上で、高性能なスナイパーライフルを構えた者が20人も揃っていた。

特に狙撃の上手い者達だ。

スコープを覗く男が、眉毛に唾を人差し指で付けていた。


「三郎、何をしている」


「うん、これをするとよく当たるんだ」


「へ~ェ、そんなもんかな」



「よく聞け!身分の偉そうな者を狙え。分かったな」


「分かってますよ、もう10回も聞いているよ。いくら殿さまが隣に居るからって偉そうに」


「そろそろ海の奴らが来たぞ。・・・射程距離に来たな。地獄に来てしまった馬鹿な奴らだ」


「お前は、本当にライフルを構えると怖いな・・・」


一斉にスナイパーライフルから発砲音が、「バン・バン・バン・バン」と絶え間なく音が続く。


「カチャ、プシュ」と薬莢やっきょが飛び出す。


「バン・バン・バン・バン」「バン・バン・バン・バン」「バン・バン・バン・バン」


「なんだよ!もう逃げやがった」


「いいじゃないか、逃げたことで下っ端しか居ない証だ」


本当は、大砲での攻撃でも良かったが、後々あの船もこっちの物になるのなら残しておきたい。




陸の伊勢の軍勢も動いた。


想定された浅い川から攻めてきた。

事前に設置した大盾の覗き穴から銃口が出ていた。


「撃て!!」


その号令で、「バン・バン・バン・バン」「バン・バン・バン・バン」「バン・バン・バン・バン」


幾つも銃声が鳴り響き、川に流される者が続出。

射程距離に入った武将は、馬から崩れ落ちた。

それが合図のように逃げ出した。


その時に、陣を張っていた位置に砲弾が次々に命中。

爆発と一緒に人が空中に舞い、絶え間なく爆発が続いた。


「撃ち方!!やめーー」



敗走する後を、追うように竹中半兵衛が軍師を務めて軍勢が突き進んだ。

そしてたっての願い出で、山田のおっさんが侍大将を務める。


山城に籠城して抵抗する者は、門や城へロケットランチャーが撃ち込まれた。

2発撃てば、戦意喪失してほぼ抵抗を止めてしまう。

見た事も無い爆発に、長島の一向一揆の噂を思い出させる。


次々と陥落して2日で伊勢の国を支配。

北畠一門は、六角を頼って逃げたらしい。



北畠氏の本拠地の霧山城きりやまじょうが燃えている。

米蔵には、米が一杯有ったかも。


「早く木を切り倒せ、山火事が広がらぬよう努めよ」




攻める時は、迅速に攻めるをモットーに攻めた。

いわゆる各個撃破かっこげきはだ。

敵勢力が分散している時に乗じて、一つ一つ打ち破っていく。

こちら側は被害も少なく、迅速に終わらせて次に当たる。



山田のおっさんは、騙した商人を捕まえて打ち首にして晒した。

財産は没収、それを見ていた商人は震えあがり、更なる銭を出す羽目になった。


【クエスト完了 報酬に植物魔法を差し上げます】

な、何と植物魔法。しかもこの世界にある植物なら簡単に手に入るらしい。

それに、品種改良も容易で至れり尽くせりだ。



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