第11話駆逐艦訓練




山田のおっさんは、尾張でガラス食器を売って戻ってきた。

前回と同じ商品が、結局銭1100貫文と悪銭500貫文で売ったらしい。

そして、山田のおっさんは更に怒っていた。

自身の商才が汚された思いで、怒り心頭だ。


「伊勢の野郎が、叩き殺す!!」


そんな物騒なことを叫んでいた。




そして、船乗りの人材も引き連れて戻って来た。

俺は、1人1人面接して雇う雇わないを決めていった。

余りにも素行の悪い人間はNGだ。

その結果、新たに家臣に成ったのは、60人。


伊勢方面の海に詳しい人も、5人程居て助かった。

今後、伊勢方面を攻略するには、浅瀬が何処にあるか知っている人間が必要だ。

座礁してしまうと困るのはこっちだからだ。


そして、あとから家族もやってくるらしい。



「ここを押すと動き出す、分かったか?」


船乗りは、半信半疑のまま「うん、うん」しか言わない。

こんなでかい船に乗ったことが無かったようだ。

それも鉄の塊だと知って、船乗りの知識がパンクしている。


そして、帆も張らずに動き出したことでも驚き続けていた。


「これを、右に回すと右にゆくぞ」




船が右に動くと「オー!動いている」「何故、右に動く」とあっちこっちで声が聞こえる。


「そして、早く停止したい時は、停止のここを押して、更に逆回転のここを押す。ほら早く止まった」


皆、頷いているが何処まで分かっているのか心配だ。


沖合いに出てみて、少々の波では揺れない。

しかし、俺は気分が悪くなる度に、回復魔法を使う羽目になった。

微妙な揺れでも船酔いしてしまう。


それにひきかえやはり船乗りだ。酔ったようすが無い。


「練習だ、誰かやってみろ」


若い船乗りが進み出てきた。

最初は緊張していたが、次第に慣れたのか快適に海を運行している。


回転数の上限も赤い目印に付けているので、30キロ以上は出さないよう指示している。

そして、以前作った砂時計が10回をカウントしたので、交代させた。

30分の運行だが、あの若者は物足りなさそうにしている。



船を停止させてから、甲板上でボルトアクション方式のスナイパーライフルの取り扱いをすることにした。


「いいか!これは、火縄銃と違う物だ。この銃弾の底の雷管を叩くことで、中の火薬が爆発して弾が発射される。その為に新しい新型銃も作った。このレバーを引くと穴が出来る。そこに銃弾を5発込めて、レバーを前後して銃弾を装填そうてんさせてレバーを横の位置する。ここまで分かったか?」


初めての作業なので手間取っている。


「そこ、しっかりレバーを引け」


どうにか装填が出来たみたいだ。


「後は、引き金を引くと弾が発射されるから、先の凸部と後ろの凹部を合わせて狙ってから引き金を引け」


海に浮かべた目標に、1発で命中させる奴も居る。

撃ち続けているとある程度、的に当たるようになった。


「今度は、ロケットランチャーを説明する」


「ロケットランチャー・・・?」


「これも、いたって簡単だ。ロケットをセットして的を狙って引き金を引く。あの小船を見ていろ」


ロケットが発射されて、小船が爆発したことで跡形も無くなった。

甲板上にどよめきが起きた。中には腰を抜かす者もいる。



まだ、魚雷の説明もしていないのに、そんなことでどうする。

こっちの方が爆発威力は半端ない程なのに・・・




銃弾は消耗品なので、銭作りの職人に作らせる事にした。

銃弾は寸法が大事なので、その為に機械の導入を無理矢理行なった。


まずは旋盤の扱い方だ。

旋盤で弾を削らして、ああだこうだと教えてやらせてみた。


ノギスや治具で測定させて、寸法は誤差内におさませるのに苦労した。

薬莢やっきょも自動機械や金型でのプレス機なども使っている。

現場であれこれ作った。失敗も何度も繰り返した。

その失敗も工夫して、職人の意見も聞いて作り上げた。


今では職人の数も3倍に膨れ上がった。


ロケットは、俺が作るしかない。

なので使い過ぎないようにやばい時だけ、使用許可を与えた。



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