第7話

作った料理はあつあつのうちに保温魔法のついたカートに、デザートは保冷バッグに入れてカートにのせる。

ダイニングには、既に4人揃っていた。

「お待たせした。夕食ができたから、机に並べるのを手伝って貰ってもいいか?」

そう言って、みんなに各自のプレートを運んでもらう。


「今日はみんながこの城に来て初めてのディナーだから、少し奮発してみたよ。…それじゃあ、ドラキュラ伯爵特製プレート!どうぞ召し上がれ」

「私たちのためにわざわざ作っていただきありがとうございます」

「「いただきます!」」


うん、美味しい。エビと鶏肉の甘辛煮は、ちょうどいい辛さ具合で、ぷりぷりのエビと柔らかい鶏肉を楽しめる。

刺身の盛り合わせは、マグロやサーモン、マダイと言った定番のものを少しずつ盛り付けている。多すぎず少なすぎず、満足いく量だと思う。

天ぷらは海の幸と山の幸どっちも美味い!サクサクしていて全く脂っぽさを感じさせない揚げ具合に我ながら感動する。

白米も芯がなく、もっちりと上手く炊き上げることができている。鍋底にはおこげもできていて、そこもまた美味しかった。

そしてみんなには出していない、俺だけの特別メニュー。ブラッドソーセージ…意外にもクセになる味で、少々しょっぱめではあるものの、嫌いな味ではなかった。血液摂取をしたことによって今までなんとなく感じていた渇きはあっという間に収まっていた。



食事中は静かだが、皆幸せそうに食べてくれているみたいでなによりだ。

だいたい全員が食べ終わったあたりで、保冷バッグからデザートを取り出す。

「今日は時間があったので、デザートも作ってみたんだ」

カクテルグラスに入った薄桃色のゼリーを全員に配り周りを見渡すと、みんなとてもキラキラした眼差しでデザートを見ていた。

「食べていいぞー」

ここにくるまで、あまり裕福ではなかった彼女たちにとって久しぶりの、ミハイにとっては初めて

の甘味。

「美味しい…」

「宝石みたいなのに甘くて美味しい!」

「白桃の香りと甘さがすごいですね」

「久しぶりの甘みです…」

とても幸せそうに食べてもらえて、作った側としては感無量である。

俺もひと口掬って食べてみる。

想像していた通り、とても美味しい。冷たくてつるんとしていて、いくらでも食べられそうだ。

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