真実

 「はぁ?!実は逃げてきた!?」

 「はい・・・実は私、未来のバイト先で博物館に勤めてるんですけど・・・その時、うっかり国宝を壊してしまって・・・」

 「それで、逃げてきたと・・・」

 「はい・・・未来の世界では修復ライトがあって、それを使えばすぐに直せるので器物損壊に問われる事はないんですが・・・」

 ん?


 「じゃあ、何で逃げてきたんだ?」

 俺がそう聞くと

 「それは・・・館長に怒られるのが怖くて・・・」

 佳代子さんが子供のように答える


 「館長に怒られるのが怖い?」

 「はい・・・」

 「自分でやったことだから怒られるのは仕方ないだろ」

 俺がそう答えると


 「館長怒ったらすごく怖いんだも~ん!!」

 そう言いうと佳代子さんは膝から崩れ落ち、子供のようにボロボロと泣き出す


 「館長普段から美術品に傷をつけたら、その傷をつけた職員にジャーマンツープレックス食らわすんだもん!!国宝を壊したなんて知られたら、市中引き回しの張り付け石投げの刑にされちゃうよ~!!!」

 いや、そんな拷問みたいな事はしないと思うけど


 「ねぇ、ほとぼりが冷めるまでで良いからここにいさせて下さい!お願いします!!」

 佳代子さんが泣きながら俺にすがりつく

 「んな事言われても・・・」


 「お願いしますよ~!!張り付けイヤだー!!!」

 佳代子さんはさらに大声で泣き始める



 「あぁー!もう、分かった!」

 「へ?」

 佳代子さんが泣き止む


 「ここにいたら良いよ、もう・・・」

 「良いんですか?」


 「あぁ・・・」

 「ありがとうございます♡♡♡!!!!」

 そう言うと佳代子さんは俺に抱きついてくる


 「やめろ!」

 デッケェアレが俺の胸に当たる!!


 「イヤです!離しません!!」

 「やめろーー!」


 こうして俺の汚部屋に未来人の居候がやって来た

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る