塾長と天使
塾長は英語が専門で皆授業中は真剣に聞いていた
塾長はやはり、塾の長であり誰よりも厳しかった
授業中はふざける事は一切許されず、それゆえにたまに遊びに連れてってくれる時はなんだか親戚のおばさんみたいな親近感があった
そんな塾長がお腹が大きくなって妊娠してる事は皆わかっていたが男ばっかりの塾ではあまり話題にはならず休み時間は得意の卓球ばかりやっていた
近くに商店があり、サンサンという炭酸の60円で買える瓶のクリームソーダを買い、駄菓子を買ってガードレールに座りながらムシャムシャと食べながら卓球の順番を各々のが待つ
そんな毎日を送ってるうちに塾長は近くの産婦人科に入院する事になる
自宅兼塾が近くにある為、本当に出産間近で入院だったと思う
その間、残りの先生らで授業は行われていた
そんなある日の事、真冬で厚着を着た塾長が教室に居て目をまぶたを膨らませて涙ながらに皆に話す
あまりに衝撃的で話した言葉は忘れてしまったが幼い命が天に召されてしまった、という内容だった
塾長は、普段ならお喋りが上手なのだがその時は「幼い命」の事を言葉にならない言葉のようなものを涙ながらに話し、皆中学生ながらに何か自分達の仲間であるリーダーの大事な何かが深く傷ついている事を悟った
少ない女子生徒達は泣き崩れ皆下を俯いている
塾にはクリスチャンの若い女の先生がいるのだが、塾長が話し終わると塾長にティッシュを渡して事務員の先生も声を出して泣いていた
その姿はまるで聖母マリアが抱擁するように温かく、光とともに小さな天使が抱っこされているような光景だった
馬鹿な男子皆も胸が張り裂けるような気持ちになり、いつものようにはふざける事もなければ卓球がコンコンコンと鳴る事もなかった
羽柴とKは肩掛けバックを肩にかけ帰りながら終始無言だったが羽柴が口を開いた
塾長の赤ちゃん、ダメだったのかな?
うん、たぶんそうじゃないかな
そっかぁ…
家に帰り羽柴は今日の出来事を母に言う
そう… 母は言葉を詰まらせた。
変人二十面相 早乙女涼子 @donguri7
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。変人二十面相の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます