あらがう。
Kojitomo
第1話 抗う。
あらがう。
暖かいふとんの中は、とても心地よい。
部屋の冷たい空気が鼻の奥を通って、肺まで冷やしていく。
ふとんをかぶる。ふとんの柔らかい圧迫感が身体じゅうを包む。
自分の息でどんどん暖かさは強くなる。
暖かさと圧迫感で、どんどん息苦しくなってくる。
溺れる。
ふとんから頭を出す。勢いよく息を吸う。
冷たい空気は、心地よくなっていた。
でも、また鼻先は寒くなる。
ふとんにもぐっては、息苦しくなって出てくる。
眠たいのに、寝付つけないこの時間がいつもキライだ。
水の中も好きで、よくプールの時は壁に背中を合わせたままゆっくり沈んで、友達が遊ぶ騒がしい音が遮断され、視界もぼやけて、世界にひとりのような感じが好きだった。でも、やっぱり息苦しさは確実にあって、絶対に水面に出て息をしなくちゃいけない。どんなに潜っても、息はしないと、生きていけない。息をすることだけに集中する。
ふとんの中にいつまでもいれない。
息をすることだけに集中する。
水の中でできないこと。ゆらゆら光るプールの中からの景色がどんなにキレイでも、プールの中にはいつまでもいれない。
眠れると信じきることから、やってみる。
眠ること、息をすることだけに、集中する。
あらがう。 Kojitomo @kojitomo
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