原作開始
第17話 継承
アブソリュート・アーク15才
ついにアブソリュートは15才となった。
今年の春から王都にある学園に3年間通うことになり、入学からが原作のスタートになる。勇者と戦う為の準備は着実に進んでいる。
クリスとレディが仲を取り持つ形で傘下の貴族との仲は良好だ。原作では勇者の仲間であるマリア・ステラを奴隷にして側に置くことに成功した。仲も良好でマリアが勝手に入ってくるのだがお風呂もいつも一緒だ。
えっちだなぁ
更に1番大きいのが、ミカエル王子を王太子の座から下ろしたのが大きいこれで大軍を動かすことが出来なくなった。
後は、学園で勇者の成長イベントを潰して勇者の邪魔をしながら聖女への工作を行うっていう計画だ。
15才になったアブソリュートは今日アーク家の固有魔法を継承する為、父ヴィランと殺しあわなければならなかった。
「アーク家の固有魔法は精霊と契約する魔法だ。それを継承するためには現在の所有者を殺し、精霊を認めさせなければならない。もちろん精霊が見ている手前、手加減はできない。アブソリュート、覚悟を決めろよ?」
(…まさかアーク家の魔法がそこまでヤバいものだとは思わなかった。原作でヴィランが出てこなかったのは、継承の際にすで死んでいたからだったのか。何かアーク家ってめちゃくちゃ血に塗れてるよなぁ。)
「父様、私は覚悟はできていますよ。そういえば、最後に手合わせをしたのは10才の時でしたね。では始めましょう!」
ダーク・ホール
アブソリュートは開幕から得意魔法を使う。闇の魔力の中からおびただしい数の魔力の腕が生えヴィランを襲う。
だが、ヴィランは動じない。ヴィランは剣に闇の魔力を纏い、魔力の腕を切っていく
アブソリュートは驚く。今のアブソリュートのレベルは90を超えている。そしてこの世界の兵士の平均レベルは20。ライナナ国物語の原作ではレベル50以上のキャラクターはアブソリュートしか知らない。だが、ヴィランの力は確実にレベル50以上だと感じた。
「驚いてるようだな。アブソリュートお前は親の目から見ても強い。普通に戦えばまず勝てないだろう。だが、アーク家の固有魔法を使えば格下が格上に勝つ為に精霊が火力を上げてくれる。さぁ次は私からいくぞ!」
ヴィランが剣を上段で構え、一気に距離を詰めてアブソリュートに斬りかかる。アブソリュートも剣で応戦し、2つの刃が合わさる。
力は互角に見えた。
何度も剣戟が繰り出される。
アブソリュートはレベル差が、あるだろう父がここまで強いとは思わなかった。
(長年にわたり、ライナナ国を裏で守ってきた男だ。
強いとは思っていたがまさかこれほどとは…)
ここまでは2人の力が拮抗していたが徐々にヴィランが押され始める。アブソリュートも本気ではあったがまだどこか余力を残していたのに対して、ヴィランはアブソリュートの圧倒的な力に全力を出さざるを得なかった。つまりは、スタミナが切れてきたのだ。
「強くなったなぁ…アブソリュート」
ヴィランは息子の成長に喜びと申し訳なさを感じた。素直に成長を喜ぶ親心と幼いころからアーク家の重責を背負わせ強く成らざるを得なかった息子への申し訳ない気持ち。
ヴィランの心は複雑であった。
「これで最後の攻撃になる!私を越えろ、
アブソリュート‼︎固有魔法アーク・サモン解放」
精霊を呼び出し契約する固有魔法のアーク・サモン。
解放されたことによりヴィランに呼び出された精霊が姿を表す。それは人では及ばない美しさを持った存在であった。精霊が多数魔法陣を展開し、魔法を次々と放ってくる。
ダーク・ホール
アブソリュートはそれをおびただしい数の魔力の腕で防いでいく。精霊とアブソリュート両者はどちらも引かなかった。だが、精霊は魔力の腕に気を取られるあまりにアブソリュートを放置しすぎた。アブソリュートは精霊との距離を詰めて拳を放って吹き飛ばした。
精霊が吹き飛ばされた所を魔力の腕で拘束し精霊との決着はついた。
「ここまでだな。強くなったな…アブソリュート」
「勝敗はすでに決まりましたので私としては死体蹴りのようなことはしたくないのですがそもそも継承のシステムはどうなっているのです?」
「甘いことを…そうだな。息子にそこまでの業を背負わせるのは忍びないな。私の父も同じ気持ちだったのか…」
ヴィランは自分の心臓を自らの剣で突き刺した。
「なっ⁈何故だ…」
ヴィランは胸を貫くはずがアブソリュートの魔力の腕を使いヴィランの自害を阻害したのだ。
「何をしている。アブソリュート!私が死なねばお前は精霊と契約できないんだぞ!」
「…父よ。貴方はこの国の為に自らの人生を棒に振ってきました。なのに、最後は固有魔法を継承するためだけに命を落とすなんて、あんまりではないですか。私は自らの親を犠牲にしてまで得た力など欲しくはありません」
原作のアブソリュートは恐らく、死が日常になっていたことでこの力を継承することに躊躇いはなかったのかも知れない。だが、前世の価値観を併せ持つ現在のアブソリュートはそれが受け入れられなかった。
「…本当に甘いな。だが、どうする?私が死なないと精霊と契約できないぞ」
だが、アブソリュートは解決策を既に出していた。
「それについては考えてあります。父様の精霊には悪いですが奴隷契約を結ばせて下さい。期限は父様か私が死ぬまでです。要するに、精霊が力を貸してくれるように奴隷契約という別の契約を結ばせて下さい。固有魔法については父様が老衰で死んだ後、受け継がせてもらいます」
考えもしなかった発想にヴィランは笑った。
「そうか…敗者は勝者の言うことに従うことにしよう。だが、あまり乱暴にはしないでやっくれ、繊細な精霊なんだ。そしてアブソリュートよ。本格的な継承は出来なかったが確かにお前は精霊の力を手にすることになる。3年後、学園卒業と同時にアーク家の当主はお前だ」
「謹んでお受け致します」
こうして、固有魔法継承は奴隷契約を精霊と交わすことで疑似的にアーク・サモンを再現することで決着した。
「これからお前の主人になるアブソリュート・アークだ。精霊よ、よろしく頼む」
精霊は言葉を語らず頷く。
契約は完了した。
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