第18話 入学試験
ヴィラン視点
ヴィラン・アークは現在王城にて国王とあっていた。
「生きてまた会えるとはな…何はともあれ君が生きてて良かったよ。ヴィラン」
国王とヴィランが堅い握手をかわす。2人は幼い頃から共に育った幼馴染だった
「あぁ、死にぞこなってしまった。多くの人を殺し、実の父をも手にかけた私がまさか生き残るとは思わなかった」
ヴィランは自嘲した。
「そんなこと言わないでくれ。君は、君達アーク家は国の為に誰よりも貢献している。幼馴染というだけで君は私を何度も助けてくれた。私は本当に君が生きててくれて嬉しいよ、ヴィラン!」
2人は幼い頃から一緒だった。それは友人という関係でアーク家を王家に縛る為のものだったが、それでも2人は確かに友人だ。
「本当はミカエルにも、私とヴィランの様にアブソリュートと上手くやって欲しかったんだがな。アブソリュートは国王の私から見ても優秀すぎる。ミカエルは劣等感と偏見のせいでもうアブソリュートとの良い関係は望めないだろうな。なぁ、アブソリュートと娘のハニエルの婚約考えてくれたか?」
国王はアブソリュートをなんとしても王家に縛りつけたかった。ミカエルとの友人関係を築くのは諦め、娘ハニエルの婿に迎えることを画策していた。
「すまんな。俺はすぐに死ぬつもりだったから忘れてたよ。死んでからアブソリュートに丸投げしようと思って」
ヴィランはあっけらかんと笑ったが国王はその答えに肩を落とした。
「まぁ、アブソリュートは言葉には言わんが私の様に王家や国の為に裏で手を汚すことに辟易している。アブソリュートが当主になったら、自分と何の関係もない王家の為には働かないだろうな。もし、アブソリュートの納得する見返りを王家が用意できなければ、私の代で裏の仕事は廃業だよ」
ヴィランの言葉に国王は頭を抱える
現在のライナナ国の国防を裏で守っているアーク家の次期当主が王家に不満を持っているのだ。ミカエルの件での失態もある。
国王はなんとしてもアブソリュートと娘を婚約をさせようと策を練るのであった。
ついにアブソリュートは精霊と奴隷契約ではあるが、契約を結ぶことができた。この力は今後勇者と戦ううえで大きな力になるだろう。
だが、そんな中で精霊との問題が発生する
「はっ?精霊界に帰れない⁈」
アブソリュートは父ヴィランと契約していた精霊を奴隷契約で契約を上書きする形で契約した。だが、それは本来の精霊との契約とは異なるため、精霊が人間の世界に
縛られる形になったのだ。
「分かった。お前が戻れないのは私の責任だ悪かったな。それについては今後対策を考えるとしよう。
ちなみにお前は名前はあるのか?」
精霊は首を振る。
「そうか。ならお前はトアと名付ける。トアは小さくなれるか」
トアはコインくらいの大きさに変化した。
「そうか…お前には今後私と常に一緒にいてもらう。外にいる時は身体を小さくして私の肩にいろ。これから学園に入学して忙しくなるからな。頼んだぞ、トア」
トアは小さく頷いた。
トアとの話し合いから数日後これから入学する王都学園に入学試験を受けに来ていた。
アーク家傘下の者達は一足先に会場につき、今は私達しかいない。傘下の者達はアブソリュートを囲うように席につき、クリスが仕切り場をまとめた。
「今後についてはまず、魔法・近接戦闘・筆記試験を行こなわれます。その結果をもとにAからDにクラス分けが行われます。アブソリュート様は問題ないとは思いますが傘下の私達が低い点数をとって足を引っ張らないよう既に通達しています。今年はミカエル王子や勇者の末裔に聖女様まで入学します。私達はあまり関わることは
ないと思いますが、何かあればアブソリュート様の名前に傷がつきます。皆さん気をつけて下さい。最後にアブソリュート様お願いします」
皆が鷹揚に頷く。アブソリュートから言う事は特にない。
「ベストを尽くせ。それだけだ」
「「「はいっ!」」」
気合いの入った声が会場に響いた。それから、ぞろぞろ他の受験者も中に入ってくる。
その中には原作のヒロインもいた。
「アブソリュート様あの修道服の方が聖女様のようですね。何か不思議な雰囲気をしていますね」
クリスは聖女に魅入っていた。
あれがヒロインの1人聖女エリザか…
聖女エリザは教会にて最高位の地位についており、回復魔法の上位互換のスキル『再生』を使う聖職者だ。
原作ではアブソリュートとの戦いにて致命傷を負った勇者を何度もスキルで癒してから前線に送り、その美貌とスキル『扇動』で兵士達の士気を上げ続けた影の立役者だ。
聖女エリザ…奴の危険度は勇者と同列だ。しかも、奴はあまり教会から出てこなかったからかなりの世間知らずだったはずだ。勇者の思考にハマる前にどうにかしなければな…。
アブソリュートが考えこんでいると次は勇者の婚約者でありヒロインのアリシア・ミライが会場に入る。
「アブソリュート様、勇者さまの婚約者アリシア様ですよ。勇者さまはご一緒ではないようですね?」
アリシア・ミライ
ミライ家の令嬢であり勇者の婚約者。そして幼馴染でもある。原作では暴走する勇者に振り回される描写が目立ったが貴族の世界に疎い勇者のストッパーでもある戦闘スタイルは遠距離からの魔法攻撃とミライ家の固有魔法の援護魔法による補助がメインだ。
(アリシアは学園で更に勇者に振り回されて
苦労するんだろうなぁ)
アブソリュートはアリシアに同情しながらさっきのクリスの疑問に答える
「クリス。勇者は学園の受験を免除されているから今日はここにはこないだろう。勇者は王族からの推薦という形で入学する平民ではあるが王族と現勇者の末裔の当主は深い関係にあるからな。っとそろそろ試験が始まる戻れ」
会話もそこそこに切り上げ、すぐに試験官が会場に入り筆記試験が始まる。学園で習う範囲は既に抑えてあるので筆記試験は問題なく終えることができた。
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