第3話 記念パーティーにて

 ミカエル王子の記念パーティーはアーク領を離れライナナ国中心部の王都にある王城にて行われた。  

  

 私こと、アブソリュートは父ヴィランと共に王とミカエル王子に賛辞を述べ、挨拶にくる貴族達を捌いていた。黒い噂はあるがアーク公爵は上位者であるため嫌々ながらも下位の貴族達は来なければならないのだ。

 中には傘下の貴族が子息を連れて挨拶にきたが私はスキル『絶対悪』の印象補正で子息達には怖がられておりあまり言葉を話さない子息に気付いて申し訳なさそうに去っていく姿が多かった。


 そして大体の挨拶周りが済んだころ父から後は大人の席だからと大人達とは分けられて子息達が集まるフロアに通された。


 中にはすでに多くの子息や令嬢が集められており遅れてきた私に視線が集められた。

 忌避の視線や侮蔑の視線を集められたが、いい心地がしなかったので逆に睨み返すと皆一斉に目を逸らした。


「ふんっ」


 少し鼻で笑う。少し辺りを見渡すと何人かの子息や令嬢が絡まれているのが分かる。よくみるとそれはアーク公爵家の傘下だった者達だ。


「お前らの家闇組織と繋がってるんだろ!よく祝いの席に顔を出せたものだな。今すぐ立ち去れ!」


 そうだ!そうだ!アーク家傘下の者達を囲んで罵声を浴びせる。

 囲まれている傘下の者たちは下位の貴族の者が多く歯を食いしばって耐える者もいれば泣き出す者もいた。中には抵抗したがボコボコにされている者もいた。


 アブソリュートは冷たい目でその光景を見つめる。


(不愉快だな。数の暴力に酔っているだけの雑魚が調子に乗りやがって)


 アブソリュートは原作での自分の最後と今の光景を無意識に重ねてしまう。圧倒的な数の差で負けたアブソリュートの姿と今の傘下の者達の姿を。


 

 気づいたら私は止めに入っていた。


「何をしているっ!!」


 スキル王の覇道の威圧を発動し、囲んでいた貴族達の中に入り傘下の者達を庇うように間に入った。


「もう一度いう。貴様らアーク家傘下の者達に何をしている?中には暴力を受けた者もいるようだが用件を伺おう」


 怒気を交えながら言うが、囲んでいた貴族達は王の覇道の威圧に加えて『絶対悪』の印象補正により恐ろしさに拍車がかかり中には失禁や気を失うもの者もいた。


 誰も返答をしないので1番爵位の高い候爵家の子息に顔を向けて言い放つ。


「アーク家の傘下の者達に手を出したということはアーク家に喧嘩を売ったと言うことだな?お前らの顔は覚えたからな。首を洗ってまっていろよ?」


「う、うわぁぁぁぁぁっ‼︎」


 恐怖が限界に達した貴族達は一斉に逃げ出していった。

 アブソリュートは傘下の者達に向き直る。傘下の者たちに顔を向けると、途端に彼らは顔色を変え恐怖のあまり立ちすくみ後ずさるものもいた。私はその様子を見て威圧を解くのを忘れていたことに気が付いた。


(あっ威圧解くの忘れてた)


「ア…アブソリュート様助けて頂き…ありがとうございました。そしてアーク派閥の名に泥を塗ってしまい…申し訳ございませんでした」


 代表して暴力を受けた伯爵家の子息が膝折り陳謝した。その姿を見て周りの者たちも慌てて膝を折ろうとしたが俺は手でそれを停止させた。


 膝を折った伯爵家の子息の肩に手を置き回復魔法を使った。伯爵家の子息や周りの者たちは私の回復魔法に驚いていた。

 アブソリュートは伯爵家の子息に声をかけた。 


「お前はホサ伯爵家のクリスだったな。酷い姿だったではないか?」 


 遠回しに心配する。


「はっ!お見苦しいものをお見せしてしまい申し訳ございませんでした。相手は上位貴族が多くいたので反抗するわけにもいかず結果エスカレートしてしまいました。全ての責任は私にあります。どうか他の者への罰はご容赦を…」 


 それを聴き1人の傘下の令嬢が割って入る


「間から失礼します。クルエル子爵家のレディ・クルエルと申します。クリス様は私達を庇って怪我をされました。責任は私達にあります。どうかクリス様への罰はご容赦を!」


 他の者達も一斉に頭を垂れて許しを乞うた。


(クリス私より人望あるじゃん。べっ別に羨ましく何かないんだからね!)


 だが今回何故このようなことが起こったのか。そこを改善しない限り1人を罰っしても解決しない。アブソリュートはこの問題を次期当主として解決を試みる。


「話は分かった。だが、今回の件はクリスだけでも他の者達だけでないお前ら全員の過失である。なぜだか分かるか?代表してクリス答えよ」


「そ、それは私達が相手に下位貴族だからと舐められたからでしょうか?」


「それもあるが、私達の評判が悪いのはあらかじめ分かっていたはずた。それなのに何故お前らはせっせとこの場に集まった?上位貴族のいないお前達だけでは標的にされるのは分かっていただろう」


クリスが苦悶の顔で言いはなった


「それならば一体どうしろっていうんですか!」


 私はクリスの目を見て言った。その顔は悲痛な感情をあらわにしていた。アブソリュートはそんなクリスに告げる


「何故私を待たなかった?」


 全員がえっ?という表情で顔を上げた。


「今回の一件は先程クリスが言ったようにお前らが下位で相手が上位故に起こった事だ。ならもしその場に私がいたらどうだ?先程のようにアイツらの好きにはさせなかった筈だ」 


(全員が私の話を聞いている。今回は相手が圧倒的に悪いが俺がまだ他の貴族からの挨拶も終わってないのに怖いからってさっさと行っちゃったコイツらも少し責任がある。故に罰を与える)


「さて、今回の一件貴様らにも責任があるのは話した通りだ。よって罰を与える」


 全員が肩を震わせた。中には覚悟を決めた者泣き出しそうな者もいた。


「今後、こういった催しや学園へ入った時はなるべく私の目の届く所にいるようにしろ。それをもって今回の罰とする」


 意外な結末に全員が驚愕の表情を浮かべた。


(まぁ俺みたいな奴と一緒にいるのは嫌だろうが仕方ないから我慢しろ。もしかしたら守れなかったやつから裏切っていく可能性もあるからな)


「勘違いするな。私はアーク家の為だ。決してお前らを守る為ではないからな。っと迎えが来たようだ。お前らももう親の元へ戻れ。次回からは勝手に離れるなよ」


 そしてアブソリュートはこの場を去り波乱のパーティーは幕を閉じた。





アブソリュート・アーク

10才

スキル

・カリスマ v6… 魅力に補正がかかる

・王の覇道 v6…自身のステータス上昇

       敵のステータスを下げる  

・絶対悪 v10…ステータスが伸びやすくなる

       相手への印象が悪くなる  

       聖の者に対して特別補正

ステータス

レベル :49

身体能力:60

魔力  :550

頭脳  :70


習得魔法

火、水、土、風、回復、闇

 

技術

剣術、拷問、グロ耐性











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