第6話 嫌な場所

家に着いた俺たちは、すぐに創志さんと話をした。


「創志さんさっきのはどういうことですか?」


「言葉のままだよ、死因は...不明だそうだ」


「「不明?」」


俺たちは疑問に思った。死んでいるのが分かっているのに何故不明なのか。


「どういうことですか、ちゃんと教えて...」


「それが私にも分からないんだ」


創志さんは俺の言葉を遮るように言った。


「すみません」


「いや、いいんだ。私も少し熱くなってしまった」

「だから気になるなら、直接行って確認するしかないと思う。それが1番確実だ」


「分かりました」


そう言うと創志さんはいつも通りに戻り俺達に接した。


「よし、今日はもう遅い。明日は廻斗君たちの実家に帰らないといけないから、今日はもう寝よう」


そう言われ俺たちは、寝室に向かい眠りについた。


翌朝、俺は起きて顔を洗いに洗面所に向かった。そして俺は顔を洗ったり、歯を磨いた。それが終わりタオルで拭きながら鏡を見ると、俺の目が一瞬、紅く光っているように見えた。俺は驚き鏡から視線を外した。そしてもう一度鏡を見ると、そこには目に紅い光は無く、いつも通りの平凡な顔だけが映っていた。


「なんだったんだ今の...」


さっきのはなんだったんだろう、気のせいなのか?

俺は、考えても無駄だし気のせいだろうと思い、すぐに家を出る支度をした。

支度ができ、家を出ると創志さんと恋奈が車の中で待っていた。俺は慌てて車に入る。


「すみません、遅くなりました」


「大丈夫だよ、それより行こうか」


創志さんはアクセルを踏み出発した。俺たちの実家、母親の家はここから4時間ぐらいで着く海辺にある家だ。あの家は俺達にとって嫌な思い出しかない。何故ならあの家は異能力ネイン至上主義の家で、俺達は異能力ネインの発現がとても遅かったから、異能力ネレスだとか、無能だとか言われたり、虐待もされていた。だから絶対にあの家に戻ることは無いだろう、そう思っていた。だがこうして戻っている。不思議なものだな。


「お兄ちゃん大丈夫?」


恋奈が心配そうに言ってきた。


「大丈夫だよ。もうあの家には何も無いから...」


「そうなんだ...ならいいけど、」


それはなんとも歯切れが悪そうな返答だった。


「本当に大丈夫だよ、今は恋奈も創志さんも一緒にいるし、心配しなくていいよ」

「ありがとな、心配してくれて」


「うん!」


俺が優しい声で言うと恋奈は嬉しそうにそう答えた。

そういえば、創志さんに聞きたいことがあったんだ。


「創志さん、少しいいですか?」


「ん?大丈夫だけど、どうした?」


運転中の創志さんが答える。まぁ、運転と言っても半自動だからほとんど運転はしなくて良いんだけど。


「あいつ...お母さんの死因についての事で」


「あ〜、なるほどね」


創志さんは何かを納得したように答える。


「廻斗君が聞きたいのは、死んだのが分かってるのに、死因が分からないことだろ?」


「は、はい!その通りです」


創志さんは当たり前のように答えた。

流石だ。凄いな、何も言わずに分かるなんて。


「まだ、実際に見てないから分からないけど、私の推測だと、まず十中八九殺人だと思う。それから死因なんだけど、この時代、ほとんどの薬物は、使うと必ず反応が残るから違うと思う。そして物理的に殺すとなると痕も残るし違うと思う。なら残るものは、未だに謎の多いこの異能力ネインしかない。事故や自殺の可能性はものすごく少ないと思う。廻斗君曰くお母さんは健康だったんでしょ?」


そう言い、創志さんは近くにあった、自分のスマホを異能力ネインで浮かす。


そう、そうなんだよ。あいつは無駄に健康だったから病気で死ぬことはなかったと思う。だから俺も異能力ネインで殺された以外考えられない。でもあいつは、表の顔は凄く真面目で賢くとても優しい人で通っていたんだ。だからあいつが殺されるなんてほとんど有り得ない。しかも殺すとなるとあの家は、そこら辺の家と比べて警備防犯そこら辺のことは完璧。本当にどういうことなんだ。


「まぁ、今は何を考えても仕方ない。今、重要なのは休むことだと思うよ」


そんな事を考えていると、創志さんが何もかも見透かしたように言ってきた。


「バレてましたか、」


「そりゃね、そんな難しい顔をしてたら」

「恋奈ちゃんはもう寝てるから、廻斗君も寝たらどうかな?多分、向こうへ行ったらすごく疲れると思うよ」


「じゃあ、お言葉に甘えて」


そう言って俺は恋奈の隣でゆっくりと眠りについた。


目が覚め、周りを見るとそこはまだ車の中だった。寝ていた恋奈は既に起きていて隣でスマホをいじっていた。

俺は体を伸ばし大きなあくびをする。


「あ!お兄ちゃん起きた?おはよ!」


「おはよ」


「恋奈、あとどれぐらいで着くか分かる?」


「多分あと1時間ぐらいだと思うよ」


「ありがとう」


それを聞いた俺はポケットに入っていたスマホを取り出して時間を見た。


家を出て約3時間か...

あと1時間、


そんな事を思い俺は、あと1時間の余った時間をスマホをいじりながら潰した。


そんな事をしていると少しづつ目的地が見えてきた。


「廻斗君、恋奈ちゃん、もうそろそろ到着するよ」


そう言われ俺は、少しづつ心の準備をした。



到着し、車を出てどこか懐かしむように家を見る。敷地は広く、観葉植物も多く、さらには壁に大理石を使っていて、まさに豪邸と言うべき家だった。普通ならこの家を見て、凄いとか大きいとか、そんな事を思うかもしれない。だが俺は違った。俺にはこの元々住んでいた家はまるで、昔に俺たちを地獄に閉じ込めたに見えた。


俺たちは大きな門をくぐり玄関に向かった。

玄関に着きインターホンを鳴らした。すると、インターホンからは何も応答がなく戸惑っていると、ドアの鍵が開いた音がした。


「入れってことか...」


それに俺は少し腹が立った。

まだ俺にだけこんな態度ならいい。けど、恋奈や創志さんがいるのにこの態度、やはりあいつはクズだ。


中に入ると少し広い玄関に革靴が多く並べられていて、天井に監視カメラが数個あり、凄いガタイのいい黒服のボディーガードが2人立っていた。


「どうぞこちらです」


ボディーガードの1人が詳しい事を何も言わず、俺たちを案内した。木製の柔らかい雰囲気の廊下を歩いていると、天井のあちこちに防犯カメラがある。


「凄い数の防犯カメラだね」


「そうですね、やっぱり変わってないな」


創志さんがボソッと俺に言ってきた。そりゃ言いたくなる気持ちも分かる。そこら辺の病院、警察署などにも比べ物にならないほど沢山あるし、この廊下の雰囲気をぶち壊しているからだ。


それから1分ぐらい歩いていると、ボディーガードが1つの扉の前で止まった。


「ここです、どうぞごゆっくりと」


ゆっくりはしたくないんだけどな。でも入る以外選択肢は無かった。

俺はゆっくりと扉を開けた。

























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