第5話 自分の異能力
俺は...死んだのか。
でもおかしい、意識がある。天国ってやつか?
俺はそっと目を開ける。するとそこには、
星がキラキラと輝く宇宙のような空間にいた。俺は驚きとっさに声が、出なかった。
声を出そうとしても出ない、そして体も動かなかった。俺は何か解決策がないか辺りを見た。そして見つけたのは、目の前にある太陽のような大きさと形をしている、白い光の球だ。俺はその光の球があまりにも美しく幻想的でなので見とれてしまった。するとそこから小さな白い光の球が出てきて、こっちに向かってくる。向かってきた光の球は俺の胸の中にゆっくりと入っていった。そうすると、俺の体が暖かくなり、声も身体も動くようになった。
「声が出る、体が動く!」
そう驚いていると、急に睡魔が襲いかかってきた。そして俺は睡魔に抗えず再び眠りについた。
どれぐらい時間が経ったんだろうか、どこからか、微かに声が聞こえてくる。
俺はゆっくりと目を開けた。すると、そこには泣きながら、お兄ちゃん、お兄ちゃんと叫んでいる俺の可愛い妹がいた。
「お兄ちゃん!」
「良かった....本当にごめんね」
俺は心配した恋奈の顔を見て、俺が悪い事をしたという実感が湧いてきた。
それにしても、さっきのはなんだったんだろう?夢かな?
そんな事を考えている時、俺はある違和感に気付いた。
刺された痛みと傷口が無い!
俺は慌てて恋奈に聞いた。
「恋奈、俺が刺された傷口が塞がっているんだけど、これは?」
「それはお兄ちゃんが刺された後、少し時間が経ったら、時間が戻るように傷口も吹き出した血も全て、もとに戻ったんだよ」
それを聞いた瞬間、俺はある考えに至った。
創志さんが言っていた、俺の
俺は俺が死んだ後の事を恋奈に詳しく聞いた。
「そういえば、俺が死んだ後、あの男はどうなったんだ?」
「その男はね、私が見た時にはすぐに逃げてて、後を追いかけようとしたら、警察官が先に追いかけてたよ」
「そうか、なら良かった。そういえば、俺が死んだ後どれぐらい時間が経ったか覚えてるか?」
「うん、覚えてるよ。多分、10秒ぐらいだと思う」
なるほど、俺は約10秒で生き返るのか。これはやばい
「ごめんなさい」
急に恋奈が謝った。
「どうして謝るんだ?」
「だって、私のせいで、お兄ちゃんが...」
そうとう焦っていたんだろう、いつもの恋奈なら一人称が「恋奈」なのに、今は「私」になっている。
本当に可愛いな俺の妹は。
昔、恋奈が間違えて自分の事を「私」ではなく「恋奈」って言った時に俺が、そっちの方が可愛いって言った時から、恋奈は一人称を「恋奈」に変えたんだっけ。
そんな可愛い妹をこんなになるまで心配させて、俺は本当に悪いことをしたんだな。
「そんなことで謝るな、俺の方が悪いんだから」
「心配させてごめんな」
そう言い俺は、恋奈のことを抱きしめた。そうすると恋奈も抱きしめてきた。
抱きしめた体は、とても暖かく優しかった。
そして、俺はある事を言わなければならなかった。
「ただいま」
「おかえり」
恋奈は優しく答えてくれた。それを聞いた俺は泣きながら、さらに強く恋奈を抱きしめた。
そんな時、俺のスマホの着信音がなる。
俺は、スマホをポケットから取り出し、画面を見る。するとそこには、「創志さん」と書かれていた。俺はすぐに電話にでる。
「もしもし」
「廻斗くん!今、恋奈ちゃんと一緒かい?」
「はい、一緒ですけど。どうしたんですか、そんなに焦って」
「ごめん。落ち着いて聞いて欲しいんだ、恋奈ちゃんも一緒に」
俺は電話をスピーカーモードにした。
「ついさっき、君たちのお母さんが死んだんだ」
「「!!」」
「だから、早く帰ってきて欲しい」
「分かりました」
俺は急過ぎる事に頭が混乱した。
どうしてだ?あいつはまだ元気なはずだぞ?事故でもしたのか?いや、それより何故このタイミングなんだ。
そんな事を思いながら、俺たちはすぐに家に向かった。
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