*第10話 クイ~ンスペシャル

「飛んでいっちゃいましたよ?」

「そ!そんなぁ!モフラ様~!」


羽化した後で羽が伸びきるまでは暫くジッとしていたが、

羽が乾くとバッサバッサと羽ばたいて何処かへ行ってしまった。


そりゃぁそうだろ~よ~

虫だもの~

だって虫だもの~


爬虫類なら多少は人に馴れるけれど、

虫は無理だよぉ~

そーゆー生き物だから~


人の言う事なんて無視だよねぇ~

虫だけにっ!

なぁ~んちゃって!

うひゃひゃひゃひゃひゃ~


「何故だ!何故われらを助けて呉れない!」

「虫だからじゃないですかね。」


イリュパーも苦笑いだ。


「モロよ!これはどう言う事だ!」

「こ、これは・・・その・・・」


予想外の出来事に祈祷師モロも困惑している。

この島の祈祷師はモロの名を代々に受け継ぐ。

東と西でそれぞれに祈祷師が居て、

互いに「我こそは正統なモロである!」と主張している。


さぁ~困ったぞ!


西の祈祷師は大亀を手懐けているのに、こちらは逃げられた!

そうなるとだね、あちらが正統モロでこちらは紛い物になるよね?


「こ!こちらには精霊様が御降臨をなされたのです!

もう神蟲様の役目は終わったのですよ!」


おいおいおい!

苦し紛れに何を言い出すんだ?


「そうかっ!そう言う事かっ!」


いやいやいや!

違うから~


「精霊様!どうか我らをお助け下さい!」

「え?なんで~?」

「何でって・・・その為に来られたのでは?」

「え~違うよ~船が沈んだからだよぉ~」

「・・・」


身も蓋も無いなぁ。

人型ってそうなんだよねぇ。

契約者以外には興味が無いのよ~


イリュパーは、ほら~聖母様だからね。

先ずサーシアが生まれるでしょう?

そいでもってサーシアがアリーゼを産む。


ハニーはそれを待ち焦がれているのよぉ。

だからイリュパーを守護しているのよねぇ。


ルルナがそうだった様に、エルサーシアの三人の娘達、

リコアリーゼ、サラアーミア、アルサラーラ。

彼女たちの契約精霊も再契約はせずに、聖地モスクピルナスで隠居していた。


ほら、たまに居るでしょう?

初めての人が忘れられずに何時までも引きずっちゃうやつ。

あれだよ~


特にレイサン家は人格の濃~いのばっかりだったからねぇ。

精霊の場合は生涯のパートナーとして一生を連れ添って死に別れるのだから、

猶更なおさらに恋しいよね~


だからインスタン島の住人がどうなろうとハニーは知ったこっちゃない。

海を渡る目処さえつけば、さっさと出て行く。

それだけだ。


「ハニー様、なんとか力になってあげられませんかね?

色々とお世話になっているし、いかだを作るにも人手が必要ですし。」


島には小舟しか無かった。

必要が無いからね。

「大きな船が欲しい。」と言ったら、

「筏でも良いなら作れる。」と言われた。


筏かぁ~

出来るだけ大きくて頑丈なのを作って?

その上に小屋を建てて?


う~~~ん。

行けるかぁ?

嵐にさえ巻き込まれなければ大丈夫かな?

現状では他に方法も無さそうだしな。

それで行こうかと考えていたところだ。


「イリュパーがそう言うなら良いよ~」

「おぉ!ありがとう御座います!」

「族長~!またやつらが暴れてます~!」


村が襲われたらしい。

そうやって少しずつ追いやられて、

島の7割が西側の勢力範囲になっている。

もう限界だ。


「じゃぁ~カメ退治でもしようか~」


そう言うとクルクルと回転しながら

キューピーハニー・クイ~ンスペシャル形態に変身した。

もちろん全裸変身!


「だから!何で人前で変身するんですかっ!」

挿絵:https://kakuyomu.jp/users/ogin0011/news/16818093078483112808


男連中がグワっと目を見開いている!

島の男は鼻血が出ても拭かない!


ビッチビチのボンデージスタイルにトゲトゲの付いたムチ。

ガッチリ食い込み!


裸の方がマシなくらいエロ~い!

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