第22話 王家

部屋に戻るとどっと疲れが襲ってきてソファに寄りかかった。

レイージョが紅茶ローテーブルに置くとミヅキに隣に腰を下ろした。


「おいで。疲れたでしょ」


レイージョに誘われて、彼女の膝に頭を置いた。レイージョのいい匂いいがして気持ちが落ち着くどころか少し興奮した。


彼女はそんなミヅキの様子に気づいたようで、頭をなぜながら口づけをされた。柔らかい唇に触れられてドキドキした。


「あ……」触れるだけですぐに離れてしまい寂しさを感じた。すると、レイージョは「ふふふ」と艶かし笑みを浮かべた。


心臓が持たない。


「続きは後にしましょう。まだ今日は長いわ」

「あぅ……」


レイージョの色気にやられて言葉が出なかった。


「忙しなくてごめんなさいね。本当は順序立ててやりたかったのだけど……」

「誘拐されるのは嫌です。私の為にありがとうございます」

「いえ。でも……」と言ってレイージョは難しい顔をした。「あそこでも言ったけど、ショータ家が貴女を王妃にすることを承諾したのが不思議なのよ。何か裏がありそうで怖いわ」


不安そうにするレイージョに、ミヅキはためらいながら以前、森であったユウキの兄であるイルミとした約束の事を話した。


「迷惑料として、“わたくしと一緒に居られるように手伝え”なんて告白かしら」


レイージョの言葉を聞いて恥ずかしくなった。あの時は、たいして期待していなかった。

なんとなく希望を言っただけであったが思わぬ所で効果を発揮して驚いている。


「でも、なんで迷惑料を貰うことになったのかしら」

「それは……」


言いづらそうにすると、レイージョは何かを感じとったようですぐに「いいわ」と言った。


「噂によると、ユウキ・ショータが父である当主に頭を下げたらしいわよ」

「え?」

「更に、ミヅキの王妃を承諾しないとショータ家を辞めるとまで言ったらしいわ」

「そこまで……」


あの約束はそんな重いものではなかったはず……。

そこで、約束に承諾したのはユウキではなくイルミであったことを思い出した。


「あの、先ほどから御三家貴族の承諾と言っていますが王族はいいのですか?」

「国王はクラーイ家よりで王妃はショータ家じゃないの。彼らは自分の家の当主と同じ意見を言うわよ。王族なんてそんなもの」


思っていたより王族の価値が軽い。


「だから、私が女王になっても決定権はないのよ。アクヤーク家と同じ意見しか許されないわ。大量の公務をこなすのにね」

「あまり、いい立場ではないですね」

「だから、アキヒトが簡単に王位を譲ったのでしょ。王族なんて鎖でしばられているだけよ」

「そんな、王族になってレイは後悔してないのですか?」


心配になるとレイージョは穏やかに笑いながら、ミヅキの髪をなぜた。


「それが、ミヅキと居られる最善の方法ですもの」そう言う、レイージョを見ると幸せを感じた。


その時、ふと、“卒業パーティーでレイージョがアキヒトに婚約破棄をされる”夢を思い出した。すでにアキヒトとの婚約は解除され、レイージョが王位継承権を得た今、それが実現することはない。


レイージョに予知夢と言われたが、たいして信憑性がないものだと思った。

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