8月〇日 前編

 私の名前はマミ、17才。口裂け女なんて呼ばれることもあるの。そんなことはいいとして、まったく本当に生きずらい人生だわ。私はマスクがなくちゃ外も歩けないし。だってしょうがないよね。口がほかの人よりも裂けてるんだもの。

 でもね、人それぞれ違いがあっていいと思うの、だってそれがその人の個性だと思うから。いけないいけない、こんなことは小さいことだって反省したばかりなのに。


 まあいいわ、話は変わるけどね、私が一番好きな季節は夏なの。おひさまの光を浴びてると自然と笑顔になるんですもの、マスクしてるからわからないと思うけど。でね、だからね、たくさん外に出かけたいのにこのマスクのせいで夏は外に出られないの。なぜって? だって真夏にマスクしてる人なんていないじゃない! 春は花粉症、秋冬は風邪とかインフルエンザの予防でマスク姿の人はたくさんいるから

私がマスクしてても何も不自然じゃないのよね。

 でも夏は大変よ! 夏の強い日差しの中で大きいマスクして歩いていたらみんな不振がって距離を置かれるし、去年なんて小さい子に、ママ、あの人こんな暑いのにマスクなんて変! なんてすれ違いざまに言われるし。

 私だって熱いわよ、通気性の良く無いマスクなんてしてるから熱中症寸前にまでなっちゃうし、でもやっぱり目立っちゃうから真夏でもマスクははずせない。そんなジレンマで結局夏の間は引きこもってたの。

 でもねでもね、今年の夏はちがうの。 

 なんとかってウイルスが流行したことで皆が真夏でもマスクをすることになったの! 

 これでマスクするのも不自然じゃないわ、むしろマスクをしないほうが不自然なご時世になっちゃったんだもの、なんかようやく運が向いてきたって感じよね。

 恥ずかしいけど言っちゃうわ、私こう見えても食いしん坊なの! やっぱ女の子だからスイーツが好きなのは当然として、一番好きなのはお肉かな…、別ににいいわよね、そういう女の子もたくさんいるわよね。

 あーあ、お肉のこと考えてたらまた食べたくなって来ちゃった。

 よし決めた! お肉を食べにレッツゴー! やだ、テンション上がって手をあげちゃった。

                           続

                 


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る