19,和解とルーチス家のスープ

 シャーロットの救出をスムーズに終わらせ、みんなはキャンピングカーで体を

倒して休んでいた。

「シャーロット、大丈夫か?」

「全然、大丈夫!!体動かしたいくらいなんですけど!!」

「なら、行ってきてもいい」

シャーロットは元気よく外に飛び出した。


 それから、リュークは漫画を読んでいた。すると、インターホンが鳴った。

「こんにちは」

首持ちじじいだった。


ラーメン店一行を応接間に通すと首持ちじじいは力なく椅子に座った。

「君たち、本当にすごかったです。私たちは抵抗もできなかった」

「本当にすぐ倒せたもんね」

グレイスは、クリスティーヌに小声で話しかけた。

「こら」

俺は、そこをすかさず注意する。


「我々があなたたちを攻撃対象にした理由は何だと思いますか?」

そう言うと、応接間に1人の老人が入ってきた。

「あ!!!!おじいさん!!!!」

マスターがすっとんきょうな声を出したので、リュークは驚いた。

「わしはベルナール・クロード・ルーチスといいます。ルイの祖父です」

そうか、あの時の老人だ。3人がラーメン店に行った時に来た客だ。


「で、なんで我々が攻撃対象になったんですか?」

「ベルクルさんがある時、大怪我をしまして。それから、ずっと入院していました」

「その頃には、私はおじいさんのことを忘れていた。そりゃ、物心つかないときに

会っていたからな」

ルイクルは話す。

「ええ。翁は長年の知り合いで、私の父のような存在でした」

首持ちじじいは語る。

「それで、翁が事故に遭ったわけなんですね。私はラーメン作りで彼の

寄付金を得ようとしたんです」

あ!!大体の意味は分かった。

「そして、しばらく客はよく来たらしいのです。でも、シャルクルがDracula・Cafe

を開いた時から客が減って、収入が少なくなり、マークは焦ったのです」

首持ちじじいは、マークというのか。


「それで、客を奪ったあなた方を攻めようとしたのです。料理の才能とレシピも

一緒に奪おうと思い・・・・・」

ズーモゥが唸る。

「そして、私たちはあなたたちを潰すのではなく、子会社のような存在にしようと

思ったのです・・・・・」

それで、この結末か。


「これまでの御無礼、大変申し訳ございませんでした!!我々はどれほど汚いことを

していたのか今になってやっと理解できたのです。バカな自分たちです。これから

何をすればいいでしょうか??」

全員が土下座して謝った。

「これを飲みなさい」

ルイクルはみんなにスープを配った。それを、ラーメン店員一行は飲んだ。

「美味しい・・・・・」

「これはね、私がベルクルおじいさんと父、シャルクルに良く飲ませてもらった

スープです。店頭には売り出していません。これを飲むと、毎日痛いことは忘れて

しまっていました。みなさんも、これを味わったらもう悪いことをする気は

なくなってしまうでしょう」

ルイクルはゆっくりとした口調で話した。

「マスター・・・・・」

全員が涙した。ルイクルは「フフ」と小さな笑い声を出した――

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