17,シャーロット救出作戦開始

 次の日の20日は元々攻める予定の日だった。だが、ルイクルが心配なので、

ルイクルの回復次第ということになった。

「いらっしゃいませ。今日は何をご注文ですか?」

「人血スープで」

「分かりました。少々お待ちください」

いつも通りの接客をしているので、だいぶ回復したようだ。


「お待たせしました~、ご注文の人血スープです!」

クリスティーヌは陽気に話しかけた。

「ありがとう。追加いいかな?」

「どうぞ」

「『炭酸牛血パフェ』をよろしく」

「了解しました。ハオユーさん珍しいですね」

「なんとなく、甘いものが欲しくなってな」

「そうですか」


ハオユーは、“骸骨吸血鬼”だ。うちの常連客でとても信頼できる。B-4にいる

らしい。


そして、炭酸牛血パフェはカフェの人気メニューの一つだ。炭酸は「炭酸水素

ナトリウム製造機」で作る炭酸飲料から噴き出した泡を再利用したものだ。色が

ついているのは、ヒマワリなどの花の色素で付けたのである。


 2月21日の先勝。時は満ちた、今日こそは絶対に勝つ。

「よし、今から出陣だ」

リュークは力強く声をかける。その声に対して、ジェイムソンは気を奮い立たせ

ようと、必死に努力した。


「作戦を確認する。まず、グレイスはラーメン店に“変装して”侵入する。その間、

自分が失敗しないと思った様々な芝居をして店員の目を引き付けるんだ。その間に

俺たちは中に入る」

「私に任せて!!」

グレイスは元気にそういった。


「次に、ジェイムソンとクリスティーヌはドライアイス爆弾、俺とマスターは

激熱洗剤スープを持つ。自分の身に何かあったらこれを投げて抵抗してほしい」

「「「了解」」」

4日間で武器の準備は済ませている。


「それで、たどり着いたらベンさんに頼んで開錠してもらうんだ。ああ、ベンさんは

スープと爆弾どっちも持っておいて」

「分かった。任せろ」

ベンさんとは、ジェイムソンの知り合いの囚人、ベン・ヴァン・キッドのことだ。


「それで、急いで脱出だ。各自、自分の武器は最低15個持っておくこと」

「「「「「分かった」」」」」

「みんな、準備は良いか?」

「OK!」

「よし、しゅつ~じん~じゃ~!!」

「・・・・・・・・・・・・・」

ウ、ウケてない?!俺、滑った?!(byジェイムソン)


 グレイスは、いよいよ店に侵入した。

「いらっしゃいませ。1名様でしょうか??」

「はい、そうです」

そのまま、ラーメンを注文して、しばらく待つ。

「お待たせしました、『ヤバコチュラーメン』です」

「ありがとうございます」

変装したグレイスはそのままラーメンをすすった。ポケットにドラキュラが食べて

いいものかを判別できる機器を持っているから安心だ。もし、大変なものだったら

羽がバサバサと震えるようになっている。

(よし、ここまではバレていないな・・・・・)


というわけで、秘密兵器の登場だ。

「うわっ!!!!店員さんみんな集まって!!!!」

大声を出したので、驚いた店員みんなが集まってきた。

「これ・・・・・・・どういうことですか?!?!」

私が見せたのは、店の奥の棚に爆弾が置いてあるという動画だ。実際は、偽造。

これは、事前に作ってもらったのだ。

「すぐ探します」

何人かは、しゃがんで棚を探す。残りは画面をしばらく眺めたり、私と話したり

している。

タッタッタッタ

そっちに近い入口から静かに侵入したみんなは、真剣なまなざしで奥へ向かった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る