16,ルイクルの復活&商品のパクリの実態

 みんな、少したじろいでいる。そんなことは聞いていないし、マスターは確実に

信頼できるのに、もしものことがあったら・・・・・このカフェはどうなるのだ。

誰か、証拠を握っている人はいないのか、クリスティーヌは考える。それを知って

いるのはマスターと父、シャルクルだろう。だが、ルイクルはこの状態だし、

シャルクルはすでに亡くなっていると聞いている。それなら、その事実を知るのは

自分の頭の中ではだれもいない。と、その時——


「証拠ならある」

強い語気をつけて言葉を出したのは――

「え・・・・・」

「マジ・・・・・!」

「よし!!」

「これで行ける」

「おいおい嘘だろ!!」

「想定外のことが・・・・・」

「厄介者め」

そこに居合わせた全員が驚いている。その人物は何となんとだ。Cafeのメンバーは

復活を待ち望み、ラーメン店はそのまま寝込んでいて欲しかった中心人物。

「マスター!!!!!!!!!!!!!!!!!」

「悪かったな、待たせた」

「いつからだ?!」


 話によると、1時間前くらいから気が付いたが、まだ朦朧もうろうとしていたので、

しばらく布団の中にいた。その間に、記憶はどんどん戻っていった。起こったことも

全てわかった。そして、自分はとあるものを見つけたのだと、それを数日前から

解析してみたのだと・・・・・

「嘘だろ」

「何で気づいたんだ」

ラーメン側は想定外の出来事にオロオロとしていた。


「これが、カメラだ」

「カメラ??」

「ああ、屋台のキッチンについていたんだ、マイクロカメラが」

「そうか、これが隠しカメラか」

リュークは、ラーメン店の者が自分の仲間や店のこと、メニューのことをほぼほぼ

把握していたのを不思議に思っていたらしい。

「あんたたち、隠しカメラなんかつけて!!」

「汚ねぇぞ!!!!」

クリスティーヌとジェイムソンは激しく怒った。

「それで、PCペーパーの“個人サーバー”に接続して調べると、これをつけたのは

ラーメン店だった。そして、懲らしめてやろうと言ったんだ。逆に懲らしめられて

しまったが」

それからの話では、ルイクルは様々なところに隠しカメラがあると知って、その

カメラとパソコンをハッキングしたらしい。完了までの時間は3日間。ルイクルが

気絶している間にも作業は進んでいた。なので、今頃、あっちはパソコンが壊れて

困っているところだという。


「んで、これが証拠だ」

ルイクルがPCペーパーをみんなの方に突き出す。

「このっ!!!!」

ズーモゥはPCペーパーを破ろうとするが、その前にジェイムソンに捕まって

しまった。みんなはそれをしばらく目撃していた。

その動画は、相手側が隠しカメラを使ってヒミツスープの材料を知ったこと。

それを複製したラーメンを作って、前からあったメニューのようにすること。それを

使って相手側がパクったということにしようとしたということが分かるものだった。

「これでどうだ。パクったのは我々ではない、君たちだったんだよ――」

ルイクルが諭すように話した。


「くそっ!!!!」

じじいの手に収まったハットをかぶった首。その表情は沸騰してしまいそうな激しい

顔だった。

「こら」

ジェイムソンは首にデコピンを一発食らわせた。

「お前・・・・・!!!!」

首はジェイムソンに嚙みつこうとするが、ジェイムソンはすぐに後ずさった。

「仕方ない・・・・・・・わしらの負けだ!!行くぞ!!」

首持ちじじいは耳を圧迫する大声でラーメン店員に言った。

「チッ」

「くそ」

「マジでムカつく」

「嫌なやつ」

「絶対ボコす」

店員は口々に嫌味を出しながらキャンピングカーを下りて行った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る