15,『ヒミツのサイコウチョウ!Draculaスープ』

 作戦開始から数日。ラーメン店はいまだに何も突き付けてこない。シャーロットの

テレパシーは何度も受け取っているので、無事だろう。


「よし、そろそろ攻めてもいいだろう。時は2月20日だ」

リュークはそう宣言した。3日間、双方に触発は無かった。が、ついに

Dracula・Cafe側が行動を起こそうとしたのだ。


「マスターの調子はどうだ?」

「まだまだ。あと2日はかかるだろう」

「5人いた方が攻めるには有利なのだが・・・・・」

「まあ、いいんじゃねぇか。Mr.Powerがいれば何とかなる」

ジェイムソンはそう自称して胸を張った。

「お前はドジだし、頭悪いから心配だ」

「何だって、リューク。洗剤スープを考えたのは誰だ?」

「グレイス」

「嘘ばっかり」

カフェに少し温和な状況ができてきた。今日までは――


 ズーモゥはついに、ラーメンを完成させた。これは、奴らを潰す強力な武器だ。

「これでどうでしょうか?」

「おう、良いんじゃないか」

首持ちじじいはスープをレンゲにのせた。そのあと、もう1つのスープを飲んだ。

「そっくりだ、これならいけるぞ」

「ありがとうございます」

雨桐ユートン(以下ユートン)、メニューにも記載したか」

「OKです。陽動できます」

ユートンと呼ばれた中年女性は答えた。

「分かった、よし、行くぞ」


「やい。ちょっと話があるんだ。中に通してくれねぇか」

「はい・・・・・」

グレイスは中に入った。リーダー役のリュークを呼びに行ったのだろう。

「こんにちは、じいさん。何か御用ですか?」

「そうだ、応接間に通せ」

一行は後ろのキャンピングカーに回って応接間に入った。


「君たち、Dracula・Cafeに言いたいことがある」

「なんでしょう?」

「あなた方のカフェの商品に、『ヒミツのサイコウチョウ!Draculaスープ』という

ものがありますよね?」

「はい」

「あれは、我々の『激ウマラーメン・頂点いただき』を偽造したものではない

ですか?」

ここまでは、成功だ。


「それはないでしょう。それでは、あなた方の商品の成分を教えてください」

リュークはあくまで抵抗しようと言いたいらしい。

「コンブ・カツオ・ニボシ・シジミ・鶏ガラ・シイタケで撮った出汁です」

「・・・・・・・?!」

かかった。

「あなた方は??」

「同じく、コンブ・カツオ・ニボシ・シジミ・鶏ガラ・シイタケに牛と人の血、

特製コチュジャンを混ぜたものです」


「ほら、やはり一緒ではないですか。これは誰から知りましたか?」

「マスターです」

クリスティーヌは寝込んでいるマスターを名指しした。

「そうですか、私どもは開店して3年後の○□×△年1月に作りました」

その証拠に、古っぽく加工した写真を見せた」

「私どもは・・・・・〇×▽◇年9月に発売しました」

苦々しくジェイムソンが答えた。

「そうですか、やはりそうでしたね」

「いや、違う。これは絶対に違う」

リュークは力強く否定する。

「そう、マスターがそんなことをするはずはない!」

「「そうだ、そうだ!!」」

全員が呼応する。

「それでは、その証拠は?それを見せてください」

「えっと・・・・・それはですね・・・・・」

やはり、迷い始めたか。これなら・・・・・勝てる。ラーメン店にもう一度活気を

取り戻せる。あっち側の準備は着々と進んでいるはずだ。

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