13,ラーメンに埋められた“タネ”

 キュインキュインキュインキュイン

この音を何回聞いただろう。グレイスには、その音が子守唄となっていた。

私はあれから目覚め、調子は回復していた。だが、クリスティーヌからのテレパシー

でシャーロットが拘束されたということを聞いて、またボーっとしてしまったのだ。


ガバッ

「うあっ?!起きた!!!!」

リュークの反応が面白い。子供のお化け屋敷にビビっているおじさんのようだった。

「大丈夫??変な夢見てない??」

「んん。大丈夫。それより、私も話に入れてよ」

「ああ、そうだね」

細かい面まで気遣ってくれるクリスティーヌは、シャーロットとは別の感じ方で

好きだ。

「ねえ、ドラキュラが弱いものって何だろう??」

「ドラキュラが弱いものってそんなに知らないよね」

「そういや、ゼリーは?」

「マスターが倒れている方に向かっている」

マスターは今どこにいるのだろう?


 はぁはぁはぁはぁはぁ

マスターは、身軽そうなのに、いざ担いでみると重かった。

「・・・・・・・・・・・・グェッ」

「何だ?!」

音と同時に、臭みが広がったので、思わずマスターを落としてしまった。

「臭い・・・・・ニンニクの臭いじゃないか。ん?ニンニク・・・・・!!!!」

俺は気が付いた。

「よし!!!!マスター、待ってろよ!シャーロットも、残りのみんなも!!

成分分析機よりも早く見つけたぜ!!!!」

ひぃひぃ声は自然消滅した。ジェイムソンは力強く走り出した。


「ただいま!!!!連れてきたぜ!!!!」

「おう、ジェイムソンお帰り。分かったぞ」

「ついに分かった!!」

「「「ニンニク!!!!」」」

「「え、分かったのか??」」

俺とリューク、クリスティーヌが同時に叫ぶと、リュークと俺は声を揃えて疑問を口

にした。

「「「ハハハハハハハハハハ」」」

そして、声を揃えて思わず笑った。

「ああ、ところで、ラーメンにはニンニクと聖水が入っていたんだ」

「ほお、聖水もか」

具体的には、ニンニクチップスがトッピングとして置いてあり、聖水は出汁を入れた

湯として使われていたのだ。この2つはドラキュラが嫌うものとして有名だ。


「あとね。よく考えてみると、私とシャーロットのやつにはなかった模様が

マスターの器に描いてあったの。何だと思う??」

「う~ん、ニンニク??聖水??」

ジェイムソンが答えると、

「バカ」

とリュークに一喝された。

「俺は分かった。十字架模様だな」

「リュー君だいせーかい!!」

「つまり、マスターだけを殺めて、コチラから誰か1人を人質に取り、交渉の席に

着こうとしているんだな。俺らは舐められた組か」

ジェイムソンはやっと理解したようだ。


「これから、あいつらはどんなことを求めてくるんだろう??まず、何を目的として

いるかだ」

「う~ん、うちに料理をパクられたと思ってるとか??」

「それは無いだろ」

「うちの店に客を盗られたとか??」

「他にもあるはずだ」

「う~ん」


「よくわからんが、俺たちには智恵と勇気と希望がある!!絶対に助ける!!」

「私たちで2人を助けるんだから!!!!!」

「あの首持ちじじいをぶっ倒す!!!!」

「そして、みんなで楽しいカフェの経営を取り戻す!!」

決意のこもった言葉を一人一人が発する。

「「「「行くぞ!!えいえいおう!!!!!!!!!!!」」」」

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