12,ドラキュラ・テレパシーと成分分析機

 ジェイムソンのパフェのマークの羽が震えている。

(これは??テレパシー?!)

ジェイムソン自体、テレパシーを受け取るのは初めてだった。だが、マスターと

グレイスが使えるので大体のやり方は聞いたことがあるのだ。神経を集中させ、

相手のメッセージを聞く。より詳しく知るときはテレパテレグラフという電信型の

装置を使うと聞いた。


(まずは、神経を全集中させる――)

ジェイムソンは頭の中を真っ暗にした。

「ああっ!!」

何か分かったのではない。

(全く集中できねぇ!!!!)

もう一回。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「チクショウ!!!!!」

机を思いっきりぶん殴った。

ダダン!!!!!!!!!!

「なあ、ジェイムソン、うるさい台パンはするな。それより、来て。大変だ――」


 俺はすぐに気付いた。普通は自分の意志でないと動かない立派な黒羽が揺れて

いるということを。そして、それが自然なものではなく、誰かの意志で動いていると

いうことを――

(全集中だ)

リュークは目をつむり、神経をとがらせた。

「シャーロット!!みんな、助けて!!店の店員に追われてる!!倒れたマスター

を置き去りにしちゃった・・・・・しかも、みんなコウモリだよ。店をちょっと東

に行ったところ。うちのカフェののぼりが立ってる辺り・・・・・。」

言葉の順番が逆なところがチラホラな、明らかに焦っている模様だ。この声を

持つ者は――クリスティーヌだ!


ブルブルブルブル

(?!?!またか・・・・・?)

すぐさま、頭を白に染める。

「みんな!!さっき分かったんだけど、シャーロットが拘束されちゃった!!大変!

これから、カフェに戻る。成分分析機の用意をしておいて!!」

バン!!!!

「何だって?!?!」

思わず台パンし、発狂しそうになってしまった。シャーロットが拘束されたって冗談

じゃない!


「ジェイムソン、もうすぐクリスティーヌが帰ってくるはずだ。至急、成分分析機の

用意を始めてくれ!!!!」

「まて、どういう内容だったんだ??テレパテレグラフに出してくれ」

「ああ、そうだな」

すぐに、テレパテレグラフに印刷して、ジェイムソンに突き付けた。

「これはマズいじゃないか!!分かった、すぐに準備する」


数十分後、クリスティーヌが飛んできた。

「ただいま!!準備できた?」

「ああ、出来た」

「ありがとう、ジェイム君」

「なあ、ところで何を分析するんだ??」

「これよ、リュー君」

リュー君と言われ、少しだけ気恥ずかしくなってしまった。

「これは・・・・・ラーメンのスープか」

「ちょっと飲んでみ・・・・・」

「「ダメ!!」」

2人は同時に警告した。

「マスターが倒れたものを飲んでどうする!!もっとしっかり考えろ!!」

「ああ、すまん」

「ジェイム君はマスターを連れてきて。地図に書いてあるから」

「分かった」


キュインキュインキュイン

成分分析機とはその名の通り、そのものに入っている成分を分析する機械だ。

これは、人間・・・・・AIが作った物を再利用したものだ。名前がシンプルすぎると

思っただろう??

今回は、液体を分析してもらうので、付属の容器にその対象物を入れる。初代カフェ

マスター・シャルクルが改造したらしいが、使ったことがないのでわからない。


「で、これを飲んで倒れたんだよな??」

「ええ。マスターは赤ワインを入れた血を飲んでいたの。それで、何を思ったのか

残ったラーメンの汁を全部口に入れた。そしたら、数秒後にバタリ」

「それで、シャーロットは??」

「酔っ払って寝た」

ダメじゃないか。それからの状況を色々聞いてみたが、シャーロットが起きていれば

解決したものも多かった。

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