第274話 この王子に向けて制裁なる鉄槌を!!(1)
「ふーん。ベルゼルグの一族は女も子供も武道派と聞いてた割には弱そうで貧弱な感じだな」
レヴィ王子がアイリスを隅々まで見つめ、終いには貧相な体つきだと?
ロリには興味がないみたいだが、ちょっとジロジロと見過ぎじゃね?
汚らわしく充血した目で、俺の偶像のヒロインでもあるアイリスを見るんじゃね。
二階からお前の目ん玉に目薬の容器ごと落とすぞ。
「もっと筋肉モリモリで大人びた美人かと期待してたのにとんだメスガキだな。ハハハ!」
筋肉馬鹿な美人が好みなら、ジムにでも通ってろ。
言っとくが、体育館でも、ガンプラでも、筋肉ムキムキで筆記用具やパソコンのキーボードを頻繁に壊す事務員じゃねーからなみたいな。
「あっ、いえ……期待に添えられず、ごめんなさい……」
ピシッ。
アイリスが顔を下ろして、恥ずかしげに謝る姿に俺の中の怒りの細胞(赤血球)が活性化する。
ああーん?
こんのガキンチョめ、初めての顔合わせの割には失礼な態度だな。
アイリスはお行儀よく挨拶したのに、そちらは挨拶すらもせず、そんないい加減な対応で、もしや全知全能の神様のつもりなのか。
このエルロードとは友好関係を築いていると聞いたが、逆に相手を傷つけてないか?
「それと何なんだ。その桃太郎の家来みたいな地味な護衛は。見た目もパッとしないし、女中心な少数精鋭もどきだし、みなそろってガキの集まりだし」
だとしたら俺は如意棒片手にモンチッチー猿のつもりかよ。
そうか、俺らは遥か彼方の地球の横にある、猿の惑星から来た聖なる使者だと。
異星間ライブがしたくて、仲間と円陣組んできた猿人類なめんなよ。
「装備もバーゲンセールで買ったような安物の作りみたいだし。ベルゼルグはそんなに金がない国なのか?」
レヴィが腰に手を当てて、上から目線で、俺たちに錆びたネジではなく、最新鋭のやじを飛ばす。
安物買いの銭失いとも言うけどさ、安くて良いものもあるんだぜと、口が酸っぱくなるほど言いたいぜ。
そう、唐揚げのトッピングに付いた無料アイテムとも言うべきか。
コケコッコーな肉には目もくれず、レモンスライスをカジカジとな。
「筋肉をつけるのもいいが、もっと金を得るための頭も持った方がいいぞ。なあ、お前らもそう思わないか?」
「「「ハハハッ!」」」
レヴィが護衛側に振り向いて同意見を求めると、ワイシャツにネクタイを締め、気品な黒革のスーツを着たレヴィの大人な護衛たちが豪快に笑う。
そんなに面白いなら、お前らの頭にサボテンの入った金のタライでも落としてやろうか。
「あああん?」
その笑い声に機嫌を損ねた声を出すロリポップガールが俺の前に出る。
「さっきから黙って聞いてみれば、随分と面白い話じゃないですか」
さあ、めぐみんマナタイトソーの出走の準備は整った。
ここからは怒りのレースの始まりだ。
「その売られたテメエの喧嘩、私自らがタダで買おうじゃないか」
邪悪なオーラを漂わせためぐみんは鬼のような殺意を剥き出しにする。
酒も飲んでないのに目が据わっためぐみんは、イカれた紅魔族のことなど何も知らないレヴィを前にして、マナタイトの杖を向けていた。
ああ、こりゃファミゴンのノラクエみたいな大きな棺桶が複数いるな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます