第22章 めぐみんとウォルバクとの因縁の出会い
第242話 この大胆不敵なめぐみんと一線を越えそうな感触を!!(1)
「HEY、HEY、お前さん、この機に及んで何言ってんYO?」
俺はベッドから上半身を起こし、隣で寝ているめぐみんに即興のラップを口に出す。
「何考えてんか、知らねーけどYO」
「俺を、俺を、これまでのヘタレと思うなYO」
拳を熱く握りしめ、秘めた想いを心のビートにのせる。
「俺は、俺は、この宿に泊まって気づいたYO」
「お前か、お前か、ダクネスか、またまた色目な、色目を使ってきたら……」
固く目を瞑り、ジャージの胸元に片手を添え、その場の空気に酔いしれる。
今、俺のラッパーな心は最高のテンションだ。
「HEY、YOU、そん時は押し、押し、押し倒してやんよ、Everybody!」
俺は恥じらいを捨てきれず、発情したサルのように吠え立てて、クールにラップの締めを決め、めぐみんを指さす。
焦点のない瞳で布団を被ったままの彼女を直視すら出来ないけど……。
「別にオオカミさんでもいいですよ?」
「今日は赤ずきんになったつもりで来ましたから」
布団から頭だけを出しためぐみんがうっとりした瞳で頬を緩ませ、俺に微笑みを向ける。
「おいおい、冗談を言うなよ、お前らしくないぜ、バロ畜生!」
寝転がった江戸っ子な俺はその愛らしい顔つきに身を引き、めぐみんから体を背ける形で反転した。
「あんな、こんな俺でも思春期のやりたい盛りの野郎なんだぜ」
俺はめぐみんを壁にただ事じゃない雰囲気にパニクってしまう。
「こういう状況になると理性がきかなくておかしくなるんだぜ!」
「女の子に縁がないもてない男なんかな、ちょっと見つめられて手を握られたら、コロリと恋の罠に落ちてしまったり……」
さっきから何を言ってるのか、そもそも正しい日本語の表現なのか、コロリの成分は安全なのか、俺自身もよく分かんね。
「カズマ、私は以前にはっきりと言いましたよね」
めぐみんが薄ら笑いをしながら俺の背中を見つめてくる。
そんな見つめてきても、背中には目ん玉は付いてない人間だし、お背中流してくれ的なお父さんの待ち時間でもねーから返答に迷うぜ。
「私はあなたのことが好きですよ」
そう言ってめぐみんが布団を足で押しやり、俺の背中にぴったりと抱きついてきた。
予想外のことに俺の血の気が一気に冷める。
ドクンドクン……。
すぐさま冷めていた心臓の鼓動が次第に早くなる。
おい、ちょっとおかしくないか。
あの塩対応のめぐみんと何でこんなラブリールートになったんだよ。
ドドドドド……。
さっきから心音の勢いが止まんね。
めぐみんも何かいつもよりも増して変だし……このラブコメ小説のイケメン主人公のような流れときたもんだ……。
そんな小説でハーレム設定で周りには美少女しかいなく、向こうからグイグイ迫ってくるのに、お前は何で手を出そうともしないんだよ、このヘタレ主人公めと愚痴りながら読んでいたけど……。
正直ごめンゴ。
誰でもいいからこの非常時の対応を教えてもらえませんか。
ドクン、ドクン、ドクン……。
この状況下ならちょっと想いをぶつければ簡単に一線を飛び越え……いや本人の許可なく天○越えはマズイだろ!
前にもダクネスと一線を越えそうだったが、あれは半分冗談もあったし、今の出来事とは全く違う。
パーティー皆と一緒に仲良く生活をしてるのに、俺とめぐみんがここでやってしまえば、それこそ一大事になるのは承知だ。
よくよーく考えろ、ティースプーンひとさじもないハエ並みの脳みそだけど、よーく考えるんだ。
めぐみんからはしがみつかれただけの抱き枕の範囲内だし、ただ普通に好きだと言われただけじゃんか。
「お……、お前さあ」
俺は持てる全ての力で声を振り絞る。
「俺が思うにお前さんが大人になったら、男を手駒にする悪女になるぜ」
「男はこんなふうに密着されたら色々と煩悩が抑えきれずに色んな限界が来てしまうんだよ!」
「今なら心地良い欲望に身を任せ、後はどうなっても知らん! ってな」
頭の中で悪魔が囁く中、天使なピュアな心を持った俺は必死に理性と戦う。
「おっ、俺が鋼の心を持った本物の紳士で良かったな。もしも俺が平凡な男で……」
「……大人になったらがどうかしました?」
イケない悪女のめぐみんが俺の耳元にボソっと呟く。
「私はもうすぐ15歳になるんですよ」
「年齢的にも立派な大人の女ですよ」
ああ、そうだこのロリっ子は出会った頃のようなガキンチョじゃねーんだ。
俺は炎のように覚醒しながら、もう理性というトリガーを外すことにした。
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