第16話 このデュラハンとうんぬんな決着をつけるための作戦を‼(3)
「あなた、そんなに威張っていられるのも今のうちだけよ! この街の勇者のミツルギさんが来たら、到底及ばないんだから!!」
「そうだぜ、あの魔剣の兄ちゃんの力でお前なんざ、一太刀で終わりだぜ‼」
「「そうだー、そうだー‼」」
俺の横にいた少女や青年がデュラハンを前にして何やら叫び出し、みんなしてミツルギの名前を連呼する。
あのキザ男、
「いや、あのイケメン、剣を求めてさ迷う旅を続けていて、もう終わってるんだけどな……」
肝心なアクアに至っては地面に倒れた冒険者をじっと見つめてるし……。
「駄女神、唯一デュラハンに対抗できるお前が戦わなくてどーする‼」
アクアは俺の言葉も無視して、今度は戦闘不能らしき冒険者を棒切れでツンツンして様子を見ている。
「貴様、もう許さんぞー!」
そこへダクネスの一振りの剣がデュラハンに……かすりともしない。
「貴様が切り捨てた私の仲間たちの変わりに私が相手になるぞ!」
これまで大人しく身を伏せていたダクネスが勇ましいことを言った後になぜか赤面する。
「なあ、見たか? 今の私の惚れ惚れとした先制攻撃、カッコ良くなかったか♪」
動いてもいない相手にも攻撃が当たらないなんて、どんだけノーコンなんだよ?
「さあ、後のせサクサク天プレートうどんのようにドーン(ドン○イ)と来い‼」
「無謀なヤツだな……」
「……いいだろう。同じ騎士に乗じて俺様の本気をみせてやる!」
デュラハンが兜を宙に投げ、ダクネスの体に目にも止まらない乱れ打ちの攻撃をする。
一方でダクネスは細かい切り傷を負いながら防戦をするのがやっとだ。
「ダクネス、止めろ。とりあえず今は下がって作戦を練るんだ。それにあちこち怪我をしているじゃないか!」
「いや、平気だ、カズマ。私は防具にも防御のスキルを振り分けている。私ならアイツの攻撃を防ぐことが可能だ‼」
「それに私はこの街の人々と平和を守る女騎士として、どんなに絶望的でも戦いの手を休めるわけにはいかないんだー!!」
ダクネスの騎士道精神溢れる言葉に胸がジーンと熱くなる。
お前、イカれたヤツかと思っていたが、中々泣かせてくれるじゃんか。
「それにな……」
ダクネスが荒い息づかいをしながら、とろんとした瞳でデュラハンを見据える。
「このデュラハンは中々の手練れだぞ。私の鎧を徐々に剥ぎ取りながら興奮しているのだ。最終的には私を裸同然にしてみんなの前でドSなプレイを楽しむつもりらしい」
「へっ?」
デュラハンの動きがピタリと止まり、宙の兜を自身の鎧に打ち付ける。
「この変態女がー、少しは空気を読まんか!!」
「なっ、カズマまでこの私を責めるのか。
どうせならもっとキツく
「
『クリエイトウォーター!』
俺はダクネスに水魔法をぶちかます。
その魔法をデュラハンは辛うじて避け、ずぶ濡れになったダクネスは身を震わせる。
俺はその状況に少し違和感を感じた。
「面白い、貴様も俺の邪魔をするのか!!」
デュラハンが俺に突撃してくる。
何とか打開策はないのか。
そうだ、アイツの大きな剣を奪えば、俺でもヤツに勝てるかも知れない。
「いくぜ、俺の最大級の超レアスキル、スティール改(勝手に命名)!!」
デュラハンと交互に過ぎ去り、俺の手元にあの大剣が……。
「……無いぞ?」
盗んだと思った手のひらには何もなかった。
「カズマー‼」
「フフフ。中々のいい案だったが、俺は魔王の幹部。貴様とはレベルが違い過ぎたのさ。さあ、くたばれ!」
デュラハンが俺の首先に剣を振る。
くっ、俺はこんな所で死ぬのか?
どうせなら綺麗なお姉さんのひざまくらで……。
「私の仲間に手出しはさせん‼」
ダクネスがデュラハンに体当たりをして、後ろから羽交い締めにする。
その怪力を前に動きを鈍らせるデュラハン。
「もういい、逃げろ。カズマ‼」
「ダクネス!? くっ、一体どうしたら……」
何か、アイツに弱点はないのか?
デュラハンでアンデッド、俺のいた世界のゲームでは……メジャーなアンデッドの吸血鬼は水が弱点だった。
そう言えば、何であの時のアイツは俺の水魔法をギリギリでかわしたんだ?
『クリエイトウォーター!』
俺は水魔法をデュラハン目がけて、発動させる。
だが、目先にいたのは、またもやずぶ濡れのダクネスのみだった。
デュラハンはダクネスから離れた場所でさりげなく佇んでいる。
もしかして?
『クリエイトウォーター!』
水魔法を避けるデュラハン。
『クリエイトウォーター!』
再び、水の攻撃を避けるデュラハン。
「みんなー、アイツは水が弱点だあー!! 魔法力が枯れるまでぶっかけろー‼」
『クリエイトウォーター!!』
街中の敷地からの水魔法がデュラハンに襲いかかる。
「くぬー‼」
デュラハンはそれらを全て避けて、華麗なステップを踏んでいた。
お前、幹部辞めて、アクションヒーローにならねえか?
「ちょっとカズマ。私が仕事していない間に何でデュラハンと水遊びしてるのよ?」
「アクア、お前の水の女神とやらの力も貸してくれ。アイツは水が弱点なんだ!」
「いいわよ。見てなさい。そんな貧相な水魔法より、地形をも変える大量の水の魔法で大きなダメージを与えてあげるわ!」
「はっ、お前、今なんて言った?」
アクアが両手を大きく広げて、魔法を発動させる。
『セイクリッド・クリエイト・ウォーター‼』
アクアの身体中から放出された洪水のような水魔法は、人々に建物にと、この街の全ての財産を押し流した……。
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