第4話 この頑丈な戦士を率いれ、望ましい戦闘を!!
「ふうー、お風呂に入ってさっぱりしました」
「カエルも中々やるわよね」
「ですが、カエルのお腹の中ってお母さんのお腹の中にいるみたいで、ほんのりと温かいですよね」
「うわっ、悪趣味。私は遠慮したいけどね」
コイツらは何を呑気にあんな話を。
もうホームシックになりそうだ。
何もかも投げ出して故郷(ジャパニーズ)に帰りたい。
あれだけ苦労してカエルをやっつけても、交通費プラスで一匹五千エリス。
(毎度、一エリスは一円なり!)
それをみんなで分けると手持ちは僅か……。
もちろん宿泊できる金もなく、馬小屋で生活しているのに。
コイツらは遠慮もせずに大食い選手のように飯をバクバクと……。
「おい、めぐみん。爆裂魔法はピンチの時以外は封印な。お前、あれ以外に使える魔法はないのか?」
「私は爆裂魔法と共に生きる力を
「ああ、そうか。じゃあ、これっきりでさようならだな」
俺は爽やかな笑顔でめぐみんに向き直り、強引に別れを告げる。
「あんまりです。ボロ雑巾のように私を見捨てる気ですか!」
しかし、めぐみんには逆効果だったらしく、俺の服を引っ張り、赤子のように泣き叫んで抵抗する。
まあ、実際に見かけは子供なんだけど。
「ええい、いいから手を放せ。そんな外車のハイオクのような燃費のかかる魔法使いは入らん」
「嫌です。お願いですから、ちょっと落ちこぼれだからって捨てないで下さい。私にはもう行き場がないんです。カズマが望みであれば、カエルの粘液のヌルヌルプレイにだって耐え抜いてみせて……」
「あぁー、めぐみん。ようこそ俺らのパーティーへ!」
俺を囲む周りの人々から、痛い視線と暴言をひしひしと浴びる。
コイツ、絶対わざとやってるだろ……。
****
俺は冒険者カードを窓からの光にかざしながら、まだ飯を食べている酪農牛のようなアクアに質問する。
「ところでアクア。スキルの覚え方とか知ってるか?」
「カズマは冒険者だからスキルポイントが上がれば、全てのスキルを覚えられるわよ」
「だから、誰かに覚えたいスキルをやって見せて、そのカードに写った習得可能スキルにポイントを入れればいいのよ」
何かスーパーのポイントカードみたいだな。
「所で早速だが、よければアクアのスキル教えてくれるか?」
「ええ、大歓迎。出血大サービスニンニクモリモリ山盛ラーメンよ」
「飯テロはいいからさっさとしろ」
「せっかちさんね。では私のとっておきの宴会芸を……」
「いらんわ。もっと単純ですぐにでも使えるヤツにしろ。そうでないとまたあのカエルを退治できなくて、粘液まみれでヌルヌルな最悪のお帰りになってしまう」
「そうか! やっぱりヌルヌルか‼」
俺の座っているテーブルに両手を打ちつける大人びた女性。
金髪のポニーテールに相反した灰色の甲冑からしてどこぞかのいい所の戦士だろうか。
「わ、私も、同じ粘液まみれにして欲しい……じゃなくてまだパーティーは募集しているだろうか?」
なぜか息を弾ませた目の前の女性が、高揚して揺れる水色の瞳でこちらを見つめてくる。
あー、でもよく見ると美人だし、胸も結構あるな。
この異世界で疲れた目の保養になるぜ。
「私はクルセイダー。ナイトの上級職だ。よければ、私もそちらのパーティーに入れてもらえないだろうか?」
あれ、でも何か、この人もアクアたちと同族のオーラを感じる。
コイツもオラオラ系か?
「あの。クルセイダーは前線で戦う職業なのであなたに攻撃が沢山きますよ?」
「ああ、ドンと来い」
「巨大カエルとかに飲み込まれて、粘液まみれでベトベトのヌルヌルになりますよ……」
「はあ、はあ。むしろ、そのための私だろー‼」
この人、目が完全にいっちゃってるよ。
息を荒くしながら俺の手も握ってくるし……。
「あれ、ダクネス。こんな所にいたんだ。ひょっとして、ここのパーティーに入りたいの?」
灰色のショートカットで青い瞳の健康体型の美少女が俺たちの熱き友情(片方は変態かも?)に割り込んでくる。
「ああ。話の途中にごめんね。あたしは盗賊やってるクリス。こっちの仏像みたいな相手はダクネス。よろしくね」
女の子らしからない肌が露出した軽装でへそが丸出し。
そんなんじゃ、雷さんに取られちまうぞ。
「それから、キミ。便利なスキルが欲しいんでしょ。あたしの盗賊スキルでいいなら教えてあげようか?」
「よっしゃー。お前さん見かけによらず商売上手だな。その話、乗らせてもらうぜ!」
何だ、ただのチャラい女の子と思っていたがとてもいいヤツじゃないか。
俺はひょこひょこと金魚の糞のようにクリスの後ろについていった。
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