第3話 このロリ娘を仲間に加え、最強のパーティー説を‼
広大に、
広がる荒野、
逃げる俺。
「ここで一句ができたなっ……じゃなくて、今はそれどころじゃないだろー!」
俺は街の外で巨大怪獣のようなカエルのモンスターから追いかけられていた。
異様に伸びるゴムのような舌に、飛び跳ねる筋肉質の体。
「こんなヤツ倒せるヤツの気性が分からん!?」
「プー、クスクスーw。初クエストでジャイアントトードに追われてるなんてめっちゃ笑えるーw」
「おい、そこの駄女神。ちょっとは戦え!」
「望むところよ!!」
ゲコゲコ、パクリ。
あー……。
****
「ウエーン、カズマにベトベトに汚されたよー。もう私、お
「周りに誤解を招くことを言うな。それに婿じゃなくて嫁だろー‼」
あのカエルに丸飲みされ、粘液まみれになってギルドに帰還した……いや、逃げてきた駄女神がボロボロと涙をこぼす。
「あれだな。俺たちには強い攻撃力を持った仲間が必要だ」
「それよ。今すぐにでも掲示板で上級職の魔法使いの募集をしましょう」
「でもなー。こんな最弱なパーティーにやって来るヤツとかいるもんかね?」
「何、おじいちゃんみたいな枯れ系なことをほざいているのよ。働かざるもの食うべからずでしょ?」
「それ、お前じゃね?」
****
「──すみません。そちらの募集を知って飛んで来た者ですが?」
そこへ三角コーンみたいな深い帽子を被り、黒マントにスッポリと包まれ、片目を眼帯で隠した幼女がトコトコと自慢げに登場する。
「この私こそ、最上級職の最強のアークウィザードでもあり、最強の魔法でどんな相手をも張っ倒す
何回、最強と呟けばいいんだ?
メジャーで作詞活動でもしてるのか、このロリロリ幼女は?
「その我が名はめぐみん‼」
名前まで幼稚な変なロリがさっきからひとりごとを言いながら、俺たちのいるテーブルをうろちょろしている。
何だ、今こんな『初めてのおつかい』みたいなごっこ遊びが流行っているのか?
「コイツもヤベーヤツだな。しかもヤベーロリ
「ちがーう‼ 私は本物の爆裂魔法使いだー!」
「じゃあ、その力とやらを見せてもらおうか」
「ええ、でもその前に……」
その場で顔面から床に着地するロリ娘。
「お腹空いた。もう三日も食べてない。何か食べさせてー。きゅう……」
やっぱり変なヤツだ。
****
俺たちは再び、あの
荒れ果てた荒野でゲコゲコと舌を舐め回しながら、特有の会話を交わす巨大カエル数匹。
いいか、調子に乗るのも今のうちだぞ。
生臭い後味がする唐揚げ(まだ生きてる)どもよ。
「私が魔法を放つまでの間、時間稼ぎをお願いします」
眼帯を外し、眩しく光る片目をあらわにし、呪文の詠唱を始めるめぐみん。
「大丈夫か、アイツ?」
「まあ、めぐみんの冒険者カードから見て、魔力も抜群に高かったし、かなりの腕利きで本物のアークウィザードであることは確かよ」
「それをお前が言うのか?」
「キー、一回轢き潰すわよ。ヒキニート!!」
俺たちの争いにも耳を傾けず、めぐみんが赤い宝玉が埋められた木の杖をカエルたちに向ける。
「いきますよ。人類史上最高の魔法使いが放つ究極最強の攻撃魔法……」
『
どかーんー‼
おおっ、コイツはスゲエ威力だ。
あのカエルの群れが跡形もなく消えて、さっぱりして、気分は最高潮だ。
「アクア、こりゃ、本当に大物を引いたぜ。なあ、見てただろ!」
パクリ……モグモグ。
あー……。
「おいっ。めぐみん様、まだ残ってるカエルがいるぞ。そなたの偉大なる攻撃魔法で飲み込まれたアクアもろとも吹き飛ばしてくれ!」
『何ですってー!(カエルの口の中からこんにちは)』
俺がめぐみんに視点をやると、相手は地面にうつ伏せに倒れたまま、動かない。
「どうした、どこか怪我でもしたのか!?」
「いえ、我が爆裂魔法は強力な魔法ゆえに消費する魔力も膨大。一度使うとしばらく動けない身であります……」
「マジか……?」
パクリ。
あー……。
お前ら、二人ともカエルの餌にして、もう俺、帰ってもいいか?
初クエスト、能天気女と幼女が丸飲みにされ、二人とも戦闘不能。
ジャイアントトード討伐作戦は失敗に終わった……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます